この11月から「Disney+」、2020年春からの「HBO max」のスタートで、北米では大型映像プラットフォームの激しい戦いがいよいよ火蓋を切る。これに先立ちDisney+が、オリジナルタイトルの新たなラインアップを10月18日に発表した。
この大きな目玉は、驚くことにノンフィクションである。スーパーヒーローの活躍する派手なVFXやファンタジーたっぷりのアニメーションが話題になることが多いディズニーグループだが、知的好奇心も十分満足させるというわけだ。
タイトルの筆頭にあがったのは、ディズニーが誇る人気キャラクター「ミッキーマウス」の歴史を辿るドキュメンタリー。そして数々のディズニーアニメーションで活躍した作詞家ハワード・アッシュマンの人生を追う『Howard』である。
「ミッキーマウス」のドキュメンタリーは、この分野で著名なモーガン・ネビルがプロデュースする。ジェフ・モームバーグ監督で、タイトル未定ながら、キャラクターアイコンとして広く知られる「ミッキーマウス」を徹底的に解明する。
ハワード・アッシュマンは、大ヒット作『アラジン』や『美女と野獣』『リトルマーメイド』の作詞でお馴染みだ。両タイトルとも2020年に世界独占配信する。
世界各国から集まった9人の高校生が科学に挑戦するのは『Science Fair』、50、60年代に人気だったドキュメンタリーシリーズ『People & Places』も新たなのかたちで復活する。セレブリティシェフによる料理番組『Wolfgang』も人気になりそうだ。
すでに発表されているドキュメンタリーシリーズ『Marvel’s 616』も話題になりそうだ。“コスプレコミュニティ” “マーベルとヒップホップの関係”“グローバルに活躍するイラストレーター”といった異なるテーマを毎回取り上げる。第1回は男中心社会だったアメコミの世界で活躍したマーベル・コミックスの女性先駆者たちにスポットを当てる。これとは別にマーベルの80年の歴史を解き明かす『Marvel’s Hero Project』も予定されている。
マーベルだけでなく、ディズニーの歴史も題材だ。『The Imagineering Story』は6時間にも及ぶ大作番組で、ディズニーの研究・開発施設ウォルト・ディズニー・イマジニアリングの内側に迫る。
ドキュメンタリー番組に対する注力は、先行するライバルNetflixに対抗する狙いもありそうだ。Netflixはテレビドラマや映画だけでなく、ドキュメンタリー作品の質と量も特徴としているからだ。
Netflix との違いはDisney+は、ここでもディズニーやマーベルなどグループのコンテンツを積極的に活用していることだ。一見地味に映りがちなドキュメンタリーではあるが、映像配信ではここも主戦場のひとつになりそうだ。