ウォルト・ディズニーが2021年以降の大作映画の公開スケジュールを発表した。映画業界では撮影の遅れや映画館の休業などで世界的に公開延期が相次いでいるが、映画製作・配給の世界最大手ウォルト・ディズニーも同様だ。2020年春以降、いくつもの作品の公開延期、配信のみへの移行がされた。
今回発表されたスケジュールは、そうしたなかで調整された最新版である。拠点となる米国ではワクチン接種が進み、映画館の営業再開が進んでいることも背景だ。
アニメーション映画では、とりわけ大きな発表があった。ピクサー・アニメーションスタジオの最新作『あの夏のルカ』が北米での劇場公開を取止めて、2021年6月18日よりDisney+のみで世界独占配信する。劇場用に製作された作品を配信のみとするのは、映像の楽しみに限界がある点、作品を広げる効果の点で大きな決断となる。
しかしこれは2020年12月にDisney+で独占配信した『ソウルフル・ワールド』に続くものである。一方で3月12日にリリースしたディズニー・アニメーションッスタジオの『ラーヤと龍の王国』は、劇場公開と配信開始が同時展開であった。これまでの作品のビジネス面での結果も、今回の選択に影響したかもしれない。ピクサー・アニメーションスタジオの作品は『あの夏のルカ』、『ソウルフル・ワールド』と2作品続けて、劇場で鑑賞できないことになる。
実写映画でも、配信との併用が続く。アニメーション映画『101匹わんちゃん』に登場する悪女を主人公にした『クルエラ』は新たに2021年5月28日、マーベル・スタジオの『ブラック・ウィドウ』は2021年7月9日に設定されたが、いずれも同日からDisney+でも配信する。劇場に足を向けないファンの取り込みを図る。劇場経営者からは反発を招きそうだが、配信重視に踏み切る。
さらに公開日が関心を集めていて大作では、『フリー・ガイ』が2021年8月13日、『シャンチー・アンド・レジェンド・オブ・テンリングス(原題)』が2021年9月3日、『キングスマン:ファースト・エージェント』が 2021年12月22日、『ディープ・ウォーター(原題)』は年を越えて2022年1月14日、『ナイル殺人事件』は2022年2月11日に公開する。
これらの作品については配信の取り扱いについては説明されていない。しかしディズニー側では今後も最適な選択肢を採用するとしている。売上や利益の出かた次第では、同時配信や、公開から短い期間での配信にシフトする可能性はあるだろう。
【ウォルト・ディズニーの今後の映画リリース予定】
『クルエラ』 2021年5月28日、劇場と配信同時リリース
『あの夏のルカ』 2021年6月18日 配信のみリリース開始
『ブラック・ウィドウ」』 2021年7月9日、劇場と配信同時リリース
『フリー・ガイ』 2021年8月13日公開
『シャンチー・アンド・レジェンド・オブ・テンリングス(原題)』 2021年9月3日公開
『キングスマン:ファースト・エージェント』 2021年12月22日公開
『ディープ・ウォーター(原題)』 2022年1月14日公開
『ナイル殺人事件』 2022年2月11日公開