エンタテインメントのテクノロジー開発に積極投資を続けるエイベックスが、アニメーション制作分野でも気になる事業をスタートした。
グループ会社のエイベックス・テクノロジーは、VRコンテンツ事業のエクシヴィと合弁会社を設立することで合意した。両社はVR(仮想現実)の空間を活用することで、自らの動きでキャラクターの動きを創り出すアニメ制作ツール「AniCast Maker」の商用化に取り組む。
エイベックス・テクノロジーとエクシヴィは、2018年9月より「AniCast Maker」の研究プロジェクトを進めてきた。合弁会社の設立で、よりこのビジネスを深めることになる。
「AniCast Maker」は、クリエイターがアバターを使ってVR空間に入り込み演技をすることで、アニメーションの動きを創り出す。VR空間に自身のキャラクターを置き、カメラマンを配置することで様々なアングルの映像も可能になる。
これまでアニメーションは手描きのアニメーションでは絵を描く技術、CGアニメーションでは制作ソフトの知識を必要としていた。いずれも初心者にはハードルが高かった。しかし「AniCast Maker」を使うことで簡単にアニメーションの制作が出来る。さらに短期間で、制作コストを下げることも実現する。
エイベックス・テクノロジーは、エイベックスの100%出資で今年5月に設立されたばかり。最新のテクノロジー開発と音楽・映像企業と組み合わせに驚きを与えるが、同社の掲げるのは「エンタテインメント×テック×グローバル」である。テクノロジーとコンテンツの創出を掛け合わせる。
設立間もないが、すでに真正証明を保証するブロックチェーンを導入したデジタルコンテンツの商品・サービスをリリースする。今回もそうした新しい挑戦のひとつになる。
またエクシヴィは2010年に設立されたVR/AR/MR分野のベンチャー企業だ。新分野での企画・開発・コンサルティングで存在感を発揮する。
「AniCast Maker」以外でも、VTuber配信システム「AniCast Live」の開発にも取り組んでいる。ジャニーズ事務所とSHOWROOMが進める「バーチャルジャニーズプロジェクト」に技術提供するなどの実績がある。
「AniCast Maker」がどのタイミングでビジネスの場で実用されるのか、どういった作品で、どういったシーンでニーズがあるのか、未知な部分も多い。これまでにないアニメーション制作とも言えるだけに、今後の動向は広く関心を集めそうだ。