東京国際映画祭がアニメーション部門新設、「白蛇伝」から「天気の子」「プロメア」まで

第32回東京国際映画祭

 2019年10月28日から11月5日までの9日間、東京・六本木地区を中心に第32回東京国際映画祭が開催される。34年の歴史を誇るアジアでも有数の規模を誇る国際映画祭だ。2019年はこの映画祭のなかで、アニメーション映画がよりクローズアップされる。
 9月26日、六本木アカデミーヒルズにて映画祭のラインナップ記者会見が実施された。グランプリを競う今年のコンペティションや各部門、企画特集などの上映作品が一挙に明らかにされた。
 ハイライトのひとつとなったのが、2019年の新たな施策「ジャパニーズ・アニメーション」部門の新設である。日本ならではの特長である世界的に関心が高い国内アニメーション映画を積極的にアピールする。映画祭はこれまでに、細田守、原恵一、湯浅政明といったアニメーション監督などにスポットを当てた特集を組んできたが、企画部門とすることでより幅広い作品の上映が可能になる。

 記者会見には、同部門のプログラミング・アドバイザーである氷川竜介氏が登壇し、新部門の意図を紹介した。部門のコンセプトは「THE EVOLUTION OF JAPANESE ANIMATION/VFX」とし、1950年代を起点に世界でも特筆すべき発展を遂げた日本のアニメと特撮を解きほぐすという。
 まず日本のアニメーション映画史のキーポイントとなる3作品。日本初のフルカラー長編アニメーション映画『白蛇伝』、止めや効果による動きを抑制した演出を極めた『エースをねらえ!劇場版』、リアリズムを打ち立て世界を席巻した『AKIRA』を上映する。
 これらの到達点として、2018年から2019年に公開された5つの劇場アニメを取りあげる。『海獣の子供』、『きみと、波にのれたら』、『天気の子』、『プロメア』、『若おかみは小学生!』、それぞれジャンルは異なるが歴史的な作品を辿るなかで、こうした多様な作品と高みに達したというわけだ。
 記者発表では、『プロメア』の原作・脚本の中島かずき氏もゲストに訪れた。「絵だからこそやれることがある」とアニメの魅力を語った。
 また50年代から70年代には、アニメと特撮は「漫画映画」と呼ばれて未分化で、相互に影響を与えていた。そうした作品としてテレビ特撮の原点である『ウルトラQ』の4K上映、スペシャルトークをする。

 アニメーション部門では、上映だけでなく、トークや企画展示も充実させる。11月2日には氷川竜介氏、原口正宏氏の無料のトークやパネルディカッション「アニメ映画史、最重要変化点を語る」が六本木アカデミーヒルズ47Fで予定されている。
 さらに企画展示「日本アニメ映画史の変化点」も同じ六本木アカデミーヒルズで開催する。『白蛇伝』、『エースをねらえ!劇場版』、『AKIRA』の制作資料を紹介する。
 映画祭では例年、上映にあたってゲストトークを招くことが慣例となっている。直近5作品でもトーク付になるものもありそうだ。

 映画祭では特別招待でも、11月から12月にかけて公開される劇場映画をいち早く上映する。ポリゴン・ピクチュアズの最新作『HUMAN LOST 人間失格』、2016年に大ヒットし多くの賞に輝いた作品を新たな作画も加えて描き直す『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』がこの中にある。海外からの招待作品には最新作『聖地への冒険』を含めた「ヒックとドラゴン」シリーズ3作品がラインナップされた。
 これまでは少なかった海外のアニメーション映画も良作が並んだ。海外映画祭で話題を呼んだ作品を特集する「ワールド・フォーカス部門」には、ヨーロッパから『マローナの素晴らしき旅』、香港/中国の『チェリー・レイン7番地』。
 若い世代に向けた「ユース部門」にはラトビアの『アウェイ』。一人で作り上げたファンタジックな冒険長編で、初期の新海誠監督を彷彿させるキャリアだ。屋外上映では、『ニノ国』、「トイ・ストリー」の1から3まで。大人から子どもまで楽しめる映画祭が意識されている。

第32回東京国際映画祭 https://2019.tiff-jp.net/ja/

【アニメーション関連ラインナップ】

■ジャパニーズ・アニメーション部門
[日本アニメ映画マスターズ]
『白蛇伝』 4Kデジタルリマスター版
『エースをねらえ!劇場版』
『AKIRA』

[日本アニメ映画の到達点]
『海獣の子供』
『きみと、波にのれたら』
『天気の子』
『プロメア』
『若おかみは小学生!』

「ULTRAMAN ARCHIVES 『ウルトラQ』4K上映&プレミアトーク」
「2020年の挑戦」/「ガラモンの逆襲」/「東京氷河期」/「カネゴンの繭」

■ワールド・フォーカス部門
『マローナの素晴らしき旅』
『チェリー・レイン7番地』

■ユース部門(TIFFチルドレン)
『動物オリンピック大全』
『アウェイ』

■特別招待作品
『HUMAN LOST 人間失格』
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
『ヒックとドラゴン』
『ヒックとドラゴン2』
『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

屋外無料上映
日比谷オープニング上映『この世界の片隅に』
『二ノ国』
『トイ・ストーリー』
『トイ・ストーリー2』
『トイ・ストーリー3』

トーク(TIFFマスタークラス)
「アニメ映画史、最重要変化点を語る」
展示企画
「日本アニメ映画史の変化点」

第32回東京国際映画祭

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