2019年7月3日から7日まで5日間にわたり米国・ロサンゼルスのコンベンションセンターで開催されているAnime Expo 2019が、今年も大盛況となっている。全米各地から集まったファンは延べ30万人以上、相変わらずの日本アニメの人気ぶりをみせつける。
人気タイトルは数多いが、ここ何年にもわたり高い支持を集め、さらに盛り上がっているのが現在も第5部「黄金の嵐」編が展開中の『ジョジョの奇妙な冒険』だ。ワーナー ブラザース ジャパンは7月5日午後「Warner Bros. Japan Anime Lineup Panel featuring JoJo’s Bizarre Adventure」を開催し、『ジョジョの奇妙な冒険』をフラッグシップタイトルとして、さらに自社最新作品を一挙に紹介した。
パネルはいくつもの大型会場を持つAnimeExpoのなかでも最大級3000名のキャパシティを誇るHall Bがセレクトされた。ワーナージャパンの自社タイトルに対する自信の現れである。
しかしこれはまさに予定どおり。イベントが始まると、この見渡すような広い会場が大勢のファンでギッシリと埋め尽くされた。
ファンの動員を引っ張ったのは、『ジョジョの奇妙な冒険』だけでない。『モブサイコ100』、『食戟のソーマ』、『ハイスコアガール』、「とあるシリーズ」と強力タイトルが並ぶ。ビジュアルと共に最新情報が発表されるたびに会場からは歓声が巻き起こった。そしてそのラインナップからは、ワーナージャパンがとりわけ北米で人気が高い作品を多く手がけていることがわかる。
さらに今回の目玉のひとつとなったのが、5月に明らかにされたばかりの『映像研には手を出すな!』。湯浅政明監督&サイエンスSARUによるアニメ化決定の話題作だ。ここでティザービジュルと新PV、そして放送・配信スタートが2020年1月であることが次々と発表された。最新情報告知の場に米国、Anime Expo 2019を選んだかたちだ。
後半は『ジョジョの奇妙な冒険』パート。会場の参加者全員の「無駄 無駄 無駄 無駄」の連呼と共に、今回のゲストである集英社・末吉孝充プロデューサー、ワーナー ブラザーズ ジャパン・大森啓幸プロデューサーが登場し、本作にまつわるエピソードを紹介した。
今回だけのプログラムも用意されていた。ひとつは原作者である荒木飛呂彦氏からのビデオメッセージ。そして事前に国内収録した末吉氏、大森氏による、アニメーション制作のデイヴィッドプロダクションの潜入レポート。これらを見ながらトークを繰り広げて行く。
最後の質問コーナーでは、ファンから気になる話題も多く飛び出した。第5部「黄金の風」に続く第6部「ストーンオーシャン」のアニメ化の可能性についてもあったが、これはやはり答えられない質問だったみたいだ。
「パネル」と呼ばれるトーク形式の企画はAnime Expoでポピュラーなイベントのひとつで、長年実施されている。しかし今回全体で感じたのは、パネルの内容が大きく変化しつつあることだ。日本企業がパネルを主導するケースが増えていることもある。ワーナー ブラザース ジャパンもそのひとつだ。
一昔前であれば、単純に新情報やPVの紹介、後半部分の大半はQAというパネルも多かった。しかし今はエンタテイメント性が向上している。
今回のワーナー ブラザース ジャパンのパネルでは、きっちりとした台本に特別編集のビデオなど様々な工夫をこらしている。1時間半の長い時間、観客を飽きさせない。ファンの作品に対するロイヤリティを高めるのも十分だ。
トークイベントを活用したファンの囲い込みは、日本でも近年マーケティングのなかでますます重視されている。こんな部分でも、日本と海外のボーダーが消えつつある。そんなことを感じさせるワーナー ブラザース ジャパンのパネルだった。
*写真 ワーナー ブラザース ジャパン提供