2017年2月2日、ソニーは2017年3月期第3四半期の決算発表をした。近年、ソニーは事業分野ごとの業績をより詳しく公表しており、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントを中心とした映画部門、ソニー・ミュージックエンタテインメントを中心とした音楽部門の動向も把握できるようになっている。
ソニー・ミュージックエンタテインメントは、音楽やライブ、アーティストマネジメントなどの事業を持つ。またアニメ事業のアニプレックス、その子会社でアニメーション制作のA-1 Picturesも音楽部門も含まれる。
この音楽事業が堅調に推移している。2月2日の発表では、第3四半期までの売上高は1785億円。前年同期比で1.8%減少となったものの営業利益は280億円と7億円の増収となった。
減収となったのは、円高となった為替の影響のほか、音楽制作の収入が前年同期の1316億円から1148億円の下がったためである。音楽制作は前年にはアデルの『25』といった大ヒットがあり、その反動もあった。一方で音楽制作のうちストリーミング売上高が312億から407億円と30%増加している。収入の構造も変化している。
一方、利益面では、アニプレックスが属する映像メディア・プラットフォームの貢献が大きかった。スマホアプリゲーム『Fate/Grand Order』が増収になり、為替影響分をカバーして部門全体の利益を伸ばした。
第3四半期までの業績を受けて、ソニーは音楽部門の通期見通しを上方修正した。売上高はこれまでの5500億円から6200億円に、営業利益は630億円から690億円に引き上げる。前年比では増収減益となる。
見通しの変更については、音楽制作と『Fate/Grand Order』を理由としている。アニプレックスは、今後『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』と新たな大型ゲームタイトルも投入する。ソニー音楽部門の意外な成長セクターとして注目されそうだ。