日本貿易振興会(ジェトロ)は、今年2月に中東の大国サウジアラビアのエンタテイメント産業の現況をまとめた「サウジアラビアの有望産業(エンターテインメント産業)についての 投資環境・市場調査(2019年2月)」を公開した。およそ60ページあまりわたり同国のエンタテイメント産業全体の特長、外国企業のビジネスについて、さらにパートナー提携先候補リストなどを掲載している。
サウジアラビアは世界有数の原油産出国である。しかし、近年は脱石油産業を掲げて新産業の育成を目指している。エンタテイメント産業もそのひとつなっており、サウジアラビアは現在ホットスポットとして世界的に注目が高い。
サウジアラビアの魅力は原油輸出を基盤にした豊富な資金だけでなく、3300万人と1人あたりの高いGDPと国内市場も大きい。さらに湾岸諸国を中心に地域経済・カルチャーも牽引する。
一方でイスラム教徒の戒律の厳しさでも知られており、特に文化的側面の大きなエンタテイメントは、関連企業にとって、分からないことが多い。ジェトロのレポートはこうした点を明らかにする。
レポートは前半を市場規模や、経済指標、現在の外国企業の参入状況に充てる。さらに中盤で市場参入のノウハウについて触れる。ビジネス慣習や流通システム、外国企業に対する法令などである。
またサウジアラビアでは海外資本に対する規制も多い。そこで現地でビジネスをするのは、同国のパートナー企業は必須だ。最後に掲載されたパートナー提携先候補リストは参考になる。AnimeJapan 2019にも出展したマンガプロダクションなどあるが、その多くはまだ充分知られていない。
日本のアニメやゲーム、マンガのビジネスは、これまで北米、ヨーロッパ、東アジアを中心にしてきた。しかし作品の人気がより世界に広がることにより、今後のビジネス地域も広がるとみられる。サウジアラビアは、そうした今後の可能性を秘めた国のひとつと言えるだろう。
「サウジアラビアの有望産業(エンターテインメント産業)についての 投資環境・市場調査(2019年2月)」
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2019/01/7a1b2f8086cd8843.html