米国のシアターオーナー協会(The National Association of Theatre Owners (NATO))の発表によれば、2018年の米国とカナダを合算した映画興行収入は118億5500万ドル(約1兆3200億円)だった。前年比で6.9%増となった。また2016年の113億7200万ドルを超えて過去最高となった。
年間で最も興行収入が大きかったのは、2月に公開されたスーパーヒーロー映画『ブラックパンサー』の約7億ドル、さらに2位に6億7800万ドルの『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』とトップ2をマーベルコミック原作が占めた。さらに3位の『インクレディブル・ファミリー』(6億800万ドル)まで飛び抜けた記録で、いずれもディズニー系のブエナビスタが配給した。
このほか5位に『アクアマン』、6位に『デッドプール2』、9位に『アントマン&ワスプ』。アメコミ原作がトップ10の半分と映画興行がコミックス原作に牽引されていることがわかる。
北米の映画興行は2000年代を通じてほほ右肩あがりだ。2000年には70億ドルあまりに過ぎなかった興行収入は、昨年でほぼ1.6倍になった。
しかしこれは必ずしも北米の映画鑑賞人口が増えているわけでない。2018年の映画鑑賞者数は13億100万人と前年比5.2%増となったが、2016年の13億1400万人、2015年の13億2000万人に及ばない。
鑑賞者数は2010年以降12億7000万人から13億3900万人の狭いレンジを推移している。人口増加や、2002年、03年の15億人超も考えれば、むしろ伸び悩んでいる。
市場の拡大は鑑賞者数の増加というよりも、チケット価格の上昇によるところが大きい。2000年のチケット価格は5.39ドルだったが、2018年には約1.7倍の9.11ドルとなっている。
この間にIMAXや3D上映などより単価の高い上映形態が増えたことも影響していそうだ。映画はかつてより、お金のかかる娯楽になっているのだ。
映画興行数字を発表しているNATOは北米の映画興行の業界団体。映画関連の情報交換、発信、データーの集計を行っている。毎年4月には大型カンファレンスイベント「CinemaCon」をラスベガスで開催する。映画業界のより細かな統計は、この場で発表されるとみられる。