DCスーパーヒーローがマテルからスピンマスターに移動 北米玩具業界で有力IP争奪

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 2018年12月末、北米の玩具業界に驚きが広がった。北米第3位、カナダの玩具会社スピンマスター(Spin Master)が、ワーナーラザース・コンシュマープロダクツからDCブランドの幅広い商品化ライセンスを獲得したと発表したためだ。
 スピンマスターは、バットマンやスーパーマンなどDCコミックスのヒーロー達の少年向け玩具、ゲーム、パズル、リモコンなどの発売が可能になる。契約は2020年に開始、3年間を予定する。DCは北米で人気の高いキャラクターだけに、スピンマスターの業績に大きな影響を与えることになりそうだ。

 一方でこれまでDCの少年向け玩具を発売してきた大手玩具会社マテル(Mattel)は、2020年よりDCの主要ライセンスを失うとみられる。DC関連商品はマテルの主力ブランドであっただけに打撃は大きい。それはこの発表後にマテルの株価が下落したことからも分かるだろう。
 マテルの2017年の売上高は48億ドル(約5200億円)、一方スピンマスターは15億ドル(約1600億円)。マテルは売上高1/3以下のスピンマスターに足元をすくわれた。

 スピンマスターは1994年に設立された玩具会社。北米の玩具業界は長年、マテルとハズブロ(Hasbro)の2大メーカーの寡占状態が続いてきた。そのなかで第3のメーカーとして成長を続けている。その躍進に一役買ったのが日本のアニメと連動した「爆丸」である。2018年にはこのリブートも仕掛けるなど勢いにのる。
 昨年4月にはマテルの発売した玩具Mecardが爆丸玩具の特許を侵害していると提訴している。そんなマテルとの関係も因縁めいている。

 もうひとつの玩具メーカー ハズブロも好調だ。2017年の年間売上高は52億ドル(約5700億円)で初めてマテルを抜き、世界最大の玩具会社となった。
 ハズブロの少年向け玩具の主力はマーベルのキャラクターたち。アイアンマンやキャプテンアメリカなどが揃う。2018年もマーベル関連の商品が売上げを押し上げている。
 一方で2018年には、やはり少年向けで人気の「パワーレンジャー」の権利をサバン・ブランズから買収している。この結果、「パワーレンジャー」の主力商品は日本のバンダイからハズブロに移る。
 2018年にはスヌーピーのライセンスをカナダのDHXメデイアが買収し、さらにその持分の一部をソニーミュージックが獲得する動きもあった。玩具・キャラクター業界で、有力IPの囲い込みが強まっている。

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