アニメ映像の持つ力をブランド価値の向上に活用する動きが広がっている。近年、企業のイメージ広告などに本格的なオリジナルアニメを制作することが増えているが、大手広告会社の電通がこの分野に新たな組織体系で本格参戦する。
2018年10月22日、電通は社内横断型の新組織「Dentsu Japanimation Studio」(電通ジャパニメーションスタジオ)を設立したことを明らかにした。アニメーションでオリジナル映像を制作し、企業・団体や商品・サービスのブランド価値向上への活用を目指す。
電通ジャパニメーションスタジオは電通本社内のグループを横断したもので、関連分野に関係する専門家を集めた。
電通によれば、近年はメディアやコンテンツが多様化する中で、若年層向けを中心にこれまでとは違う共感型のコミュニケーションが必要されている。そのなかでアニメの持つストーリーや表現の自由度の高さ、ウェブ動画との親和性の高さを活用することが増えている。
企業はアニメに魅力を感じるが、一方でアニメ業界は専門性が高く分かりにくいと言われることも多い。電通ジャパニメーションスタジオは、一般企業とアニメをうまくつなげる仕組みともいえる。
また設立にあたって、日本を代表する9つのスタジオの参加するのも目玉だ。アンサー・スタジオ、サンライズ、スタジオコロリド、デイヴィッドプロダクション、バンダイナムコピクチャーズ、ぴえろ、プロダクション I.G、MAPPA、ライデンフィルムである。
『機動戦士ガンダム』のサンライズや、『NARUTO』のぴえろ、『攻殻機動隊』のプロダクション I.Gなど、ヒット作を輩出するスタジオが並んだ。
電通は企業や団体に対して、アニメーションを活用したブランディングなどのマーケティング、ソリューションを提供する。その目玉がこうしたスタジオによるオリジナルアニメになりそうだ。
いずれも人気スタジオばかりだけに、通常であればオリジナルアニメの制作依頼は敷居が高い。そうしたハードルを越えられる点が、電通ジャパニメーションスタジオの強みになりそうだ。