2018年9月21日(金)に全国公開となる劇場版『若おかみは小学生!』が、6月11日から16日までフランスで開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭にて世界最速で上映された。映画祭の長編部門のオフィシャルコンペティションの1本に選ばれたためだ。
本作はこれまで国内外ともどこでも上映されておらず、アヌシー映画祭が初となる。世界最大のアニメーション映画祭を、ワールドプレミアの場に選んだ。
13日夜には映画祭のメイン会場である「ボリュ・グラン・サレ」にて、高坂希太郎監督と齋藤雅弘プロデューサーが登壇する舞台挨拶も行われた。会場を埋め尽くしたファンに、作品への想いを語った。
もともと本作の企画は、高坂監督が自転車仲間の依頼で、『若おかみは小学生!』のイメージイラストを描いたのがきっかけだという。また齋藤プロデューサーも、「いまから4、5年に荻窪の小さな喫茶店で、高坂さんに監督をお願いした」と懐かしそうに当時のことを語った。
作品については、「いま日本ではありのままの自分を描くことが多いが、この作品では自分は置いておいても人のために尽くす、そのなかで人間が成長していくことを描いた」と監督。齋藤プロデューサーは、「本編の隅々まで高坂さんの気持ちのはいった映画」と、作品の見どころを力説した。
アヌシーの今年の長編コンペティションは、カンボジアの圧政時代をテーマにしグランプリに輝いた『FUNAN』をはじめシリアスな作品が多かった。そのなかで、目が大きく可愛らしいビジュアルの『若おかみは小学生!』は異彩を放っていた。それだけに観客がどんな反応をするか気になるところだった。
しかし、映画が始まるとそのストーリーは、他のコンペ作品と同様の骨太。そして逆境に負けることなく、新たな道を見つける主人公おっこの健気さは、まさにこのキャラクターであればこそと納得させる。
上映終了後には、思わず涙を流してしまう観客の姿も数多く見られた。作品に対する高い評価と満足度は、上映後に会場に鳴り響いた拍手からも窺われた。
劇場版『若おかみは小学生!』は日本だけでなく、フランス配給もすでに決まっている。現地の配給会社ユーロズームによりフランス公開が予定されている。映画祭から映画館へ、今後の活躍もまだまだ期待される。