2018年5月14日に発表された東映アニメーションの2018年3月期の連結決算が、売上高と利益で過去最高を更新した。劇場アニメ、テレビアニメは減収だったが、国内・国外ともアプリゲーム化権が好調で、海外向けの映像配信権の販売も大きく貢献した。
連結売上高は459億9200万円と、過去最高であった17年3月期を12.9%上回った。営業利益は112億7200万円(11.2%増)、経常利益は115億6100万円(11.6%増)、当期純利益は78億4700万円(8.9%増)とこちらも過去の実績を上回っている。
業績を牽引しているのは、版権事業である。なかでもスマホ向けアプリゲーム『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』が国内外で人気を呼んだ。国内では好調であった前年をさらに上回り、海外でも好調であった。
海外向けでは『ワンピース』も活躍した。アプリゲームに関する複数の契約があり、大幅な増収になったとしている。
版権事業の売上高は241億2400万円(32.6%増)で全体の半分を超えている。また営業利益は114億3900万円(31.8%増)と大幅な増収増益だ。版権事業、そのなかのアプリゲーム関連が業績の柱となっている。
映像製作・販売事業は弱含んだ。売上高は162億2300万円(1.8%増)だったが、営業利益は24億2300万円(30.6%減)である。
ここでも中国向けの映像配信権の大口契約の販売本数が増加するなど、海外向けのビジネスが拡大している。一方で人材強化と制作環境の整備などがあり製作原価が上昇している。劇場アニメ部門、テレビアニメ部門の減収に加えて、利益減少の要因につながっている。映像パッケージが振るわなかったコンテンツ部門も大幅減収だ。
劇場アニメは、『映画プリキュアドリームスターズ!』『デジモンアドベンチャーtri.第5章』『映画キラキラ☆プリキュアアラモード』『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』『映画プリキュアスーパースターズ!』があったが、前年の大ヒット『ONE PIECE FILM GOLD』の反動がでた。
テレビアニメ部門では、『ワンピース』『キラキラ☆プリキュアアラモード』『HUGっと!プリキュア』『ドラゴンボール超』『デジモンユニバース アプリモンスターズ』『正解するカド』『タイガーマスクW』の6作品があったが、前年より本数が少なく小幅減収だ。
商品販売事業は、売上高は47億6600万円(13.8%減)、営業利益1億2300万円(33.8%減)。こちらも『ONE PIECE FILM GOLD』の反動がでている。「プリキュアプリティストア」が好調だったが、前年に及んでいない。
売上高、利益とも過去最高の東映アニメーションだが、収益構造にはやや不安を残す。事業的にはスマホアプリゲームへの依存がますます高くなっている。作品も『ドラゴンボール』や『ワンピース』など少数タイトルにビジネスが集中している。
一方で、ビジネスの根幹である劇場アニメ部門、テレビアニメ部門は近年の業界の状況もあり、急激には制作を増やせない。さらに人材とデジタルの投資が拡大するなか、利益は圧迫されている。現在続けている人材強化と制作環境の整備が、今後の有力コンテンツとなるクリエティブにつながるかが中長期的な課題だ。