日本国外で創作されたアメリカンコミックス、バンドデシネなどのマンガ作品の日本語翻訳が増加している。過去一年間に出版された邦訳マンガを対象に優れた作品を選ぶガイマン賞2016のノミネートが先頃発表された。その対象作品が177点であることが明らかになった。これは前年の121点から4割以上もの増加となる。
ガイマン賞の公式ブログによれば、アメリカンコミックスが110点と全体の全体の約6割を占める。さらにこのうち72点がDCコミックス(25点)、マーベルコミックス(47点)となっている。近年、両社の作品を原作とするスーパーヒーローの映画公開が増加しており、そうした関係もありそうだ。
フランス語圏の作品であるバンドデシネは19点、アメコミ、バンドデシネ以外が28点である。電子書籍での刊行が25点あり、デジタル化も刊行の増加に一役買っている。
ガイマン賞は、海外のマンガ作品の普及を目指して2012年にスタートした。過去一年間に一番面白かった作品を投票で募り、ランキングを発表する。第一回は長編アニメーション映画にもなったスペインの『皺(しわ)』、その後も『闇の国々』、『塩素の味』、『ホークアイ:マイ・ライフ・アズ・ア・ウェポン』、そして前回の『さよなら セプテンバー』まで名作、話題作が1位に輝いてきた。
興味深いのは、そのノミネート数の推移だ。2011年10月から2012年9月までの第1回の作品は全部で66点に過ぎなかった。しかし、その数は右肩あがりで、5回目を迎える今回は2015年9月1日から2016年8月31日を対象期間にし、5年前の約2.6倍にもなっている。ガイマン賞に代表される近年の海外作品の盛り上げが、成果を発揮している。
2016年は10月1日から11月30日までを投票期間とする。海外作品のファンであれば誰でも投票可能だ。
また投票開始に先立って、9月24日には東京・千代田区の米沢嘉博記念図書館にて、ノミネート作品を紹介するイベントが実施される。当日は海外マンガ研究者のミソトミツエ氏、翻訳家の鵜野孝紀氏、原正人氏らが出演する。直近の海外シーンを知る場にもなりそうだ。
ガイマン賞 ブログ http://blog.gaiman.jp/