創通、第3四半期減収減益 プロデュース作品減少に、遊技機業界不振も影響

ファイナンス決算

 アニメ企画・製作の創通の2017年8月期第3四半期の決算が発表された。近年は順調な成長を続けてきた創通だが、ここにきて陰りがでてきた。第3四半期までの業績で、売上高、利益とも前期同期比で二桁の減少となった。
 連結売上高は135億6100万円(23.3%減)、営業利益は24億1400万円(13.8%減)、経常利益は23億7200万円(15.3%減)、純利益は16億1400万円(10.1%減)になっている。売上高が2期連続のマイナス、利益は増益から減益に転じている。

 番組の企画・製作、広告・プロモーションからなるメディア事業は売上高が93億9200万円と前年同期比28.3%減、営業利益は7億3000万円の28.2%減となった。
 業績の弱含みは、製作に関わるプロデュース作品が減少したこと、また遊技機(パチンコ・パチスロ)の広告収入やキャンペーンの新規受注がなかったことが主な理由だ。遊技機業界は2015年頃より不振が続いており、それが広告やプロモーションにも影響を与えているとみられる。
 プロデュース番組は「カードファイト!!ヴァンガード」シリーズ、『リルリルフェアリ』、それに『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』などの定番作品はあったが、新作テレビシリーズは主要タイトルが少なかった。2016年秋期は4タイトル、17年冬期は3タイトル、17年春期は4タイトルである。ただし17年夏期は、製作出資し、版権窓口を保有するものだけで6タイトルになる。『ひとりじめマイヒーロー』、『異世界はスマートフォンとともに。』、『異世界食堂』、『潔癖男子!青山くん』、『天使の3P!』、『ゲーマーズ!』などだ。
 
 ライツ事業は売上高37億900万円(7.6%減)、営業利益16億8700万円(5.7%減)と小幅な減少にとどまった。ガンダムシリーズの版権事業は堅調であった。しかし、それ以外の大きなヒット作がなかった。
 それでもライツ事業ではイベント部門で今後の新たな可能性を感じさせる。イベント売上は第3四半期までで2億2000万円と、前年同期の1億3600万円、さらに前の期の1億300万円から大きく伸びている。通期では前年の2倍近い6億円を見通している。
 これはアジアで開催するアニメイベントの売上増加も貢献している。そのイベントは今年3月に、創通が中心になってきたC3とソニーミュージックが中心となってきたAnime Festival Asia(AFA)が合併した。相乗効果による今後のさらなる成長が期待される。

 創通は17年8月期の通期連結売上高を、前年比9.4%の210億円、営業利益と経常利益をそれぞれ31億5000万円(10.0%減)、当期純利益を20億6000万円(9.8%減)と予想する。見通し達成には、第4四半期の巻き返しが鍵になる。

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