2018年の劇場上映アニメ本数が高どまり シリーズ作品が全体をかさ上げ

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■ 史上最高水準を2018年も維持する見込み

 アニメ映画の劇場公開/上映タイトル数は、2018年も高水準を維持しそうだ。2017年12月31日時点で発表されている2018年の新作劇場アニメの公開/上映作品をまとめると55本に達した。これは前年同時期の53本とほぼ同数になる。
 筆者は毎年前年の終り段階での発表タイトルをまとめているが、12年、13年は約30本、14年、15年が約40本、そして16年は47本、17年は53本と右肩あがりとなっている。
 年末の段階では、8月以降公開を中心に未発表タイトルも多く、最終的には本数はさらに増える。社団法人日本動画協会の調べる年間劇場アニメタイトル数は、12年59本、13年63本、14年73本、15年86本、16年81本と、やはり右肩あがりである。年初の集計と年間のトレンドは一致する傾向にあり、2018年の劇場アニメも高水準とみて間違いない。

■ イベント上映がタイトル数をかさ上げ、オリジナル企画の実現は厳しい

 しかし、公開/上映本数だけで、劇場アニメが好調と判断とするのは、やや危険だ。タイトル数には、中小規模の公開を含んでいるためだ。こうした作品は通常の「公開」ではなく、「イベント上映」としているものが少なくない。本来は映画公開でなく、あくまでも映画館で実施するイベントなのである。ところが近年は、イベント上映の大型化や興行形式の変化により、劇場公開とほとんど区別がつかなくなっている。このため公開/イベント上映を合わせて劇場アニメのタイトル数としている。
 近年のタイトル数の増加は、実は制作予算も小振りなイベント上映や中小規模公開の占める割合が大きい。昔であればOVAシリーズとして発売されたような作品もあり、劇場上映にあたっては3部作、4部作、6部作で上映されることも多い。これが全体の本数をかさ上げしている。2018年では、7月より毎月新作が上映される『K SEVEN STORIES』の6部作などがある。

 2部作以上のシリーズ、毎年公開されるファミリーキッズの定番映画、テレビシリーズからの展開、ODSの小規模公開を除いたタイトルを絞るとその数はどう変わるだろうか? 一挙に9本になる。ここから制作は日本だが製作が米国になる『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』、自主企画に近い『アラーニェの虫籠』を除くと残るのは7本。『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』、『劇場版ときめきレストラン☆☆☆ MIRACLE6』、『さよなからの朝に約束の花をかざろう』、『未来のミライ』、「CRAFTARプロジェクト」、『ニンジャバットマン』、『君の膵臓をたべたい』である。
 今後、8月以降公開の新たな作品が発表される可能性はあるにしても、膨大な本数に占める割合は驚くほど小さい。ある程度の予算と規模で制作するオリジナル企画の劇場アニメの実現は、一般に考えられている以上に厳しいことが分かるだろう。

■ 細田守監督『未来のミライ』は飛び抜けた存在

 そうした2018年のオリジナル企画作品のみどころは、まず3年ぶりに登場する細田守監督の新作『未来のミライ』。7月20日に東宝配給で公開されるが、劇場数は400以上と見られる。数ある劇場アニメのなかでも特別な存在である。
『さよならの朝に約束の花をかざろう』は、脚本・シリーズ構成でヒットメーカーとして知られる岡田麿里の初監督作品。こちらも原作もオリジナルと大きな関心を集めそうだ。
『心が叫びたがっているんだ。』、『同級生』、「告白実行委員会」シリーズなどを送り出してきたアニプレックスは、2018年に『君の膵臓をたべたい』を配給する。ヒット作シリーズの印象が強いアニプレックスだが、コンテンツ開発には積極的である。
 山田尚子監督の『リズと青い鳥』は、テレビアニメシリーズ『響け! ユーフォニアム』から派生する作品だ。しかしタイトルに敢えてシリーズ名は入れていない。『聲の形』で名を上げた山田監督だけに、これまでのシリーズとは切り離した誰でも観られるオリジナル企画寄りの作品としてアピールする。
 ワーナーブラザース映画の『ニンジャバットマン』も注目作である。ワーナーと組むことで、オフィシャルにDCコミックのキャラクターを使いアメコミの世界と日本のアニメを融合する。当初より日本と海外、双方を意識する。

■ 気になる『妖怪ウォッチ』の行方、台風の目の『ドラゴンボール』

 毎年公開される定番アニメでは、引き続き『名探偵コナン』、『ドラえもん』、『ポケットモンスター』の興業が今年も期待出来そうだ。しかし、2017年で4年目を迎えた『妖怪ウォッチ』の劇場版が2018年はリストアップされていない。例年、12月の新作公開と同時に翌年の公開が発表されてきたが、3年連続で興行収入を落としており、その行方が注目される。
 もともと年末年始は、夏休みや春休み、ゴールデンウィークに較べて、キッズ・ファミリー向けのアニメシリーズが定着しない時期とされてきた。『妖怪ウォッチ』とは別のアニメタイトルが、東宝配給のこのシーズンに入る可能性もある。
 一方で東映が劇場版20作目を記念して、『ドラゴンボール』の新作劇場アニメを冬休みシーズンに投入する。これまでも大ヒットしてきたシリーズだけに、ファミリーキッズの動員が見込めるこの時期の公開で観客をいっきに持っていくのかどうか、台風の目になりそうだ。

2018年 国内公開/上映の劇場アニメタイトル

[1月6日]
『映画 中二病でも恋がしたい!-Take On Me-』(松竹)
[1月13日]
『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』(東映)
『劇場版「進撃の巨人」Season 2~覚醒の咆哮~』(ポニーキャニオン)
『フルメタル・パニック! ワン・ナイト・スタンド』(KADOKAWA)
[1月20日]
『フルメタル・パニック! イントゥ・ザ・ブルー』(KADOKAWA)
[1月27日]
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第四章 天命篇』(松竹)
『新妹魔王の契約者(テスタメント) DEPARTURES』(角川ANIMATION)
[2月9日]
『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』(ビッグウエスト ?)
[2月10日]
『コードギアス 反逆のルルーシュ Ⅱ 叛道』(ショウゲート)
『劇場版ときめきレストラン☆☆☆ MIRACLE6』(アスミック・エース)
『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』(KADOKAWA)
[2月18日]
『さよならの朝に約束の花をかざろう』(ショウゲート)
[2月24日]
『劇場版 Infini-T Force/ガッチャマン さらば友よ』(松竹)
[3月3日]
『映画ドラえもん のび太の宝島』(東宝)
『劇場版 文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』(角川ANIMATION)
[3月9日]
『映画しまじろう まほうのしまのだいぼうけん』(東宝)
[3月17日]
『映画プリキュアスーパースターズ!』(東映)
[4月7日]
『劇場版 SERVAMP サーヴァンプ Alice in the Garden』
[4月13日]
『映画 クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』(東宝)
『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』(東宝)
[4月21日]
『リズと青い鳥』(松竹)
[5月5日]
『デジモンアドベンチャー tri.第6章「ぼくらの未来」』(東映)
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』(松竹)
[5月]
『コードギアス 反逆のルルーシュIII 皇道』(ショウゲート)
『GODZILLA 決戦機動増殖都市』(東宝映像事業部)
[6月2日]
『PEACE MAKER 鐵 前編 想道(オモウミチ)』(ショウゲート)
[6月9日]
『曇天に笑う<外伝> ~宿命、双頭の風魔~』(松竹)
『あさがおと加瀬さん。』(ポニーキャニオン)
[7月7日]
『K SEVEN STORIES Episode1 「R:B BLAZE」』
[7月13日]
『劇場版ポケットモンスター 2018』(東宝)
[7月20日]
『未来のミライ』(東宝)
[8月4日]
『K SEVEN STORIES Episode2 「SIDE:BLUE ~天狼の如く~」』
[8月]
『劇場版トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド 機動救急警察(仮)』(ポニーキャニオン)
[夏]
『僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE』(東宝)
『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』(角川ANIMATION ?)
『七つの大罪 劇場版』
[9月1日]
『K SEVEN STORIES Episode3 「SIDE:GREEN ~上書き世界~」』
[10月6日]
『K SEVEN STORIES Episode4 「Lost Small World ~檻の向こうに~」』
[11月3日]
『K SEVEN STORIES Episode5 「メモリー・オブ・レッド ~BURN~」』
[12月1日]
『K SEVEN STORIES Episode6 「Circle Vision ~Nameless Song~」』
[秋]
「CRAFTARプロジェクト」(松竹)
『PEACE MAKER 鐵 後編 友命(ユウメイ)』(ショウゲート)
『映画HUGっと!プリキュア(仮)』(東映)
『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション2』(ショウゲート)
[12月]
『ドラゴンボール劇場版(仮)』(東映)
[2018年]
『ニンジャバットマン』(ワーナーブラザース映画)
『魔法少女リリカルなのは Detonation』(松竹)
『君の膵臓をたべたい』(アニプレックス)
『劇場版 夏目友人帳』(アニプレックス)
『劇場版 Fate/stay night Heaven’s Feel II. lost butterfly』(アニプレックス)
『劇場版 はいからさんが通る 後編 花の東京大ロマン』(ワーナーブラザース映画)
『劇場版 響け!ユーフォニアム~(新作)』(松竹)
『フリクリ2』(東宝映像事業部)
『フリクリ3』(東宝映像事業部)
『アラーニェの虫籠』?
[2018年以降]
『劇場版 冴えない彼女の育てかた』
『テニスの王子様 BEST GAMES!! 手塚vs跡部』
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第五章』(松竹)
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第六章』(松竹)
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章』(松竹)
『ガールズ&パンツァー 最終章 第2話』(ショウゲート)
『ガールズ&パンツァー 最終章 第3話』(ショウゲート)
『GODZILLA』 第3章 (東宝映像事業部)
『ビブリア古書堂の事件手帖』
『「美少女戦士セーラームーン Crystal」第4期<デッド・ムーン編>前編』
『「美少女戦士セーラームーン Crystal」第4期<デッド・ムーン編>後編』
『劇場版 ユーリ!!! on ICE』
『劇場版 活劇 刀剣乱舞』
『劇場版 ラブライブ!サンシャイン!!』
『劇場版 Fate/stay night Heaven’s Feel II. Lost 第3章』(アニプレックス)
『劇場版 Gのレコンギスタ』
『MINT』?

[2019年以降]
『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』(松竹)
『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジ LOVE キングダム』(松竹)
『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』(ショウゲート)
『ガールズ&パンツァー 最終章 第5話』(ショウゲート)
『ガールズ&パンツァー 最終章 第6話』(ショウゲート)
『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション3』(ショウゲート)

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