カルチャー関連の大手企業であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、子会社カルチュア・エンタテインメントを通じて、老舗出版社の主婦の友社をグループ会社化した。2017年12月15日付けで、大日本印刷株式会社(DNP)が保有する同社株式(議決権比率99.9%)を取得した。取得金額は非公表。
これにより主婦の友社は、DNPの子会社からCCCグループに移動する。主婦の友社は引き続き、大日本印刷との協業関係も継続する方針だ。
主婦の友社は1916年に東京家政研究会として創業、1921年に同社を代表する雑誌に合わせた社名に変更した。スタート時から、女性向けの書籍・雑誌を得意としてきた。現在も「Ray」や「mina」といった有力女性誌を抱える。2017年3月期の売上高は86億円、従業員は134名だった。
またアニメ関連分野でも、近年は積極的に活動している。1994年に創刊した「声優グランプリ」は、アニメ業界を代表する声優雑誌としてアニメファンにお馴染みだ。
また2012年に創刊したライトノベルのレーベルであるヒーロー文庫は、メディアミックスを積極的に仕掛ける。すでに『ナイツ&マジック』や『異世界食堂』といったアニメ化作品も誕生しており、アニメの製作委員会への出資もする。
これまでの親会社だったDNPは、2017年2月に、国内アニメ製作の業界団体である日本動画協会に加入したばかり。10月には、東京・市ヶ谷の自社ビルに東京アニメセンター in DNPプラザをオープンしたばかりである。
DNPは、2009年5月に主婦の友社から要請におより同社に出資、子会社としていた。しかし、今回の株式譲渡によりアニメ製作からこれまでより離れることになる。DNPによればCCCは蔦屋書店などのライフスタイル事業に強みがあり、主婦の友社の得意とする実用、ファッションとの重なりが大きい。同社のさらなる成長にとって、CCCとの連携が有効であると判断したとする。
一方のCCCはCD・DVDレンタルなどでよく知られるが、書籍やエンタテイメント商材の販売でも国内有数の存在だ。近年は、書籍小売からさらに、出版事業に進出する。阪急コミュニケーションズ、美術出版社、徳間書店などを相次いで子会社化している。「Newsweek」や「Pen」、「美術手帖」などのクオリティ誌、カルチャー誌を増強している。ここに主婦の友社の女性誌も加わる。
さらにアニメ関連では、徳間書店の「アニメージュ」に加えて「声優グランプリ」が加わる。ヒーロー文庫の今後の動向も含めて、アニメ業界からも関心を集めそうだ。