カドカワ第2Q減益 映像・ゲーム好調 ウェブサービスが落ち込む

ファイナンス決算

 11月9日に発表されたカドカワの2018年3月期第2四半期決算は、売上高はほぼ前年並みの1014億7300万円だった。しかし、営業利益は28億5800万円(35.3%減)、経常利益は30億3900万円(24.2%減)、当期純利益は17億4900万円(42.1%減)と利益面での落ち込みが大きかった。
 これは投資費用が嵩んでいることが大きな理由になっている。ウェブサービス事業でポータルサイトniconicoのリニュールや新バージョン導入に向けた投資が増え、減益幅が大きかった。出版事業も電子書籍・雑誌が好調の一方で、埼玉県所沢市の製造・物流拠点関連や新規事業への投資で減収減益になっている。

 ウェブサービス事業は、売上高154億600万円(4.2%減)、営業利益は3億9300万円(77.4%減)の減収減益。売上高はポータルサイトの有料会員、音楽配信の有料会員の減少が響いた。一方、「ニ
コニコ超会議」や「Animelo Summer Live」を抱えるライブ事業は売上げを伸ばした。
 減益の一因ともなっているniconicoの新サービスは、11月28日に発表する。新バージョンの導入で、ユーザーや滞在時間、課金の売上増加の効果を期待している。さらに新規コンテンツの創出も目指すとしており、下半期以降は、新バージョンの成否が大きな影響を与えそうだ。

 出版事業は売上高は543億9900万円(1.2%増)と前年並み、営業利益は24億円(38.2%減)だった。
 電子書籍・雑誌が、読み放題サービス「dマガジン」の好調で想定を超える収益となった。また電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」でもライトノベル、さらに他社電子書籍ストアでは『ダンジョン飯』、『幼女戦記』などのコミックスも好調であった。

 好調だったのは、映像・ゲーム事業である。売上高は230億7100万円(7.0%増)、営業利益が18億8900万円(44.1%増)と増収増益となった。なかでも映像事業のアニメが全体を牽引した。映画では『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』、『劇場版 Fate/kaleid linerプリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』、テレビアニメでは『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』、『メイドインアビス』、『この素晴らしい世界に祝福を!』、『幼女戦記』を手がけた。
 利益面では電子チケットの販売も好調だった。また映像スタジオの収益改善も貢献した。

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る