音楽大手のエイベックスは11月9日に2018年3月期第2四半期決算を発表したが、上半期は伸び悩み、最終赤字となった。売上高は684億500万円(9.6%減)、営業利益は8億4300万円(71.6%減)、経常利益は6億1400万円(75%減)。そして当期純損失を6億1400万円計上した。
業績の不調は、音楽、アニメ、デジタルの主要3事業の売上がいずれも前年同期比でマイナスとなったためだ。CDやDVD、Blu-rayでの大型ヒットに欠き、デジタル事業では不採算の映像事業サービスを終了した。
アニメ事業は減収減益だった。上半期の売上高は71億9800万円で前年比22.6%減、営業利益は26億円で同28.1%減の大幅な減少となった。前年同期は『おそ松さん』関連が売上高に占める割合が大きかったが、今期は上半期にこれに相当するものがなく、反動減が大きかった。
エイベックスはアニメ事業をDVD/Blu‐rayを中心としたパッケージ部門とライツやライブなどのノンパッケージ部門のふたつに分けている。パッケージ部門の売上高が26億7900万円(37%減)、ノンパッケージ部門は45億1900万円円(10.5%減)と、パッケージの売上高の減少が大きかった。この結果、アニメ事業全体の6割以上がDVD・Blu-ray以外からとなっている。DVD・Blu-rayの売上枚数は37万枚(前年同期5万8400万枚)、商品単価は5345円から5100円に下がった。
一方で、第3四半期に前作が大ヒットになった『おそ松さん』の第2期がスタートする。製作出資やパッケージだけでなく、イベントライブや商品化、ゲームなどの関連事業も積極的に手掛ける。通期での売上げと利益への貢献が期待される。
エイベックスは2018年3月期には、『おそ松さん』のほか『十二大戦』、『異世界食堂』、『賭けグルイ』、『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』、『ブラッククローバー』、『ひとりじめマイヒーロー』、『恋愛暴君』、『Wake Up, Girls!新章』、『王室教師ハイネ』など、テレビシリーズを多く手がけている。さらに劇場アニメ『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』、『Dance with Devils-Fortuna-』、実写映画『氷菓』、舞台プロデュースやスマホアプリゲームにも積極的だ。
アニメ製作本数を増やすことでヒットを生みだす機会を多くし、さらにそれをパッケージ以外のビジネスにつなげる。事業の多角化戦略がみてとれる。
音楽事業は売上高511億円(4.8%減)、営業利益(10.7%減)。前年同期比7.9%増とライブ事業が成長しているが、アルバムを中心に不振で21.5%減であったパッケージの減少をカバーできなかった。
デジタル事業は売上高117億円(20.9%減)だったが、営業利益は8億円に増加した。不採算の映像配信サービスを終了したことで、会員数は前年同期の510万人から461万人に減少したが、利益率が改善された。