IGポート堅調 20年5月期第2Qは増収黒字「進撃の巨人」や「銀英伝」

ファイナンス決算

 アニメ製作大手のIGポートが1月14日に、2020年5月期第2四半期の決算を発表した。連結売上高が43億6700万円と8.8%増となったのに加え、利益面では第1四半期に続き黒字を維持して堅調だった。営業利益は3億1500万円、経常利益は3億1300万円、当期純利益は1億7800万円である。
 前年同期には昨年4月に制作事業を売却、6月には連結決算から外れたジーベックの売上も計上されていた。今期からその該当分がなくなったことを考えれば、売上高は実際の数字以上に大きく伸びたと見ていいだろう。その点でも業績は底堅いとみてよい。

 売上高の大きな部分を占めたのは、プロダクションI.GやWIT STUDIO、Signal-MDなどのアニメーション制作である。映像制作事業の売上高は28億7300万円(8.3%増)、営業利益は1億7200万円。主要作品は劇場アニメ『キミだけにモテたいんだ。』、テレビアニメ『PSYCHO-PASS 3』、『歌舞伎町シャーロック』、『ヴィンランド・サガ』である。
 制作コストは引き続きCG制作費や外注費の高騰、制作期間の長期化により厳しい状況が続いているとする。しかし作品の一部に改善があったとする。これが黒字転換につながったようだ。

 版権事業も黒字転換している。売上高は6億8500万円(3.5%減)、営業利益は1億5600万円だった。大型作品への製作出資が続く一方で、前年に比べて映像投資の減価償却が減少したことが利益に結びついた。期間中に新たに『ヴィンランド・サガ』に製作出資した。
 版権事業の主要タイトルは『進撃の巨人』、『銀河英雄伝説 Die Neue These』、『宇宙戦艦ヤマト』、『PSYCHO-PASS』などである。息の長いロングシリーズが二次利用収益を着実に生み出していることがわかる。

 出版事業も売上高6億8900万円(27.7%増)、営業利益6300万円(5.0%増)と堅調である。『リィンカーネーションの花弁』と『転生貴族の異世界冒険録』の販売が好調で、紙書籍の売上は落ちたが、電子書籍が拡大した。
 その電子書籍は、2018年3月にサービスインしたウェブマンガ配信サイト「マンガドア」が2019年9月に単月黒字を実現した。今後はアプリ版をリリースして、事業拡大を目指す。

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