なぜ日本なのか? アヌシー国際アニメーション映画祭トップが来日

「アヌシー国際アニメーション映画祭」紹介セミナー

 世界最大、そして最も歴史が長いアニメーション映画祭であるフランスのアヌシーがいま日本に目を向けている。映画祭のトップがこのほど来日し、日本の映像・アニメーション関係者に向けたセミナーを実施した。
 2017年10月30日に、東京・六本木ヒルズで開催された「アヌシー国際アニメーション映画祭」紹介セミナーである。セミナーでは、映画祭と見本市を主催するCITIAのアーティスティックディレクターであるマルセル・ジャン氏、ビジネス部門のトップであるミカエル・マラン氏、そして日本代表でサンブリッジ取締役代表の山口晶氏が登壇した。

 本企画は、2017年10月25日から11月3日まで六本木を中心に行われている東京国際映画祭に連動したものである。映像産業機構(VIPO)が、いまアニメーション界で一番ホットな場としてJ-LOP4の事業にてアヌシー映画祭を招聘した。
 国内でアヌシー映画祭がこうした本格的なセミナーを開催するのは初である。多忙なマルセル・ジャン氏、ミカエル・マラン氏がわざわざ日本に足を向けるのは、世界のアニメーション大国である日本への期待の大きさも示している。

 近年、アヌシーにおける日本の存在感は次第に増している。マラン氏は国際見本市MIFAの日本からの登録者がここ2、3年で急増し、2017年は過去最高に達したと指摘する。
 また映画祭でも2017年は、長編部門で湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』がクリスタル賞(グランプリ)、『この世界の片隅に』が審査委員賞を受賞する快挙を残した。これ以外にも日本作品の受賞は多いが、ジャン氏は「これだけ優れた作品があっても、まだ応募していないことで受賞を逃している作品は多い。もしそうした作品が応募していれば日本の受賞はもっと多かったはず」と、映画祭に参加しない日本勢がチャンスを逃していることを強調した。
 それはビジネス面でも同様で、マラン氏はまだアヌシーに来ていない日本企業は少なくないという。もしかしたら実現するかもしれないチャンスを逃しているというわけだ。

 日本への積極的なアプローチは、長い歴史を持つアヌシーの近年の変化にも理由があるかもしれない。ジャン氏はアヌシー創設の1960年から85年までを「短編映画の時代」と捉えている。つまり世界のアニメーション作家の交流の場だ。
 大きな転機が訪れたのが1985年。テレビ業界の発展と映画製作拡大の波、それに政府の文化産業の後押しで国際見本市MIFAが設立された。さらに2000年代後半に大きな変化が起きる。2000年代前半に停滞したMIFAをてこ入れし、様々なビジネスの出会いの場を打ち出す。近年のビジネスに強いアヌシーのイメージはここから始まっている。
 さらに現在は、世界最大のアニメーション映画祭として、ヨーロッパだけでなく、アジア、北米からの来場者が増えている。さらに今後の成長市場としてラテンアメリカ、アフリカに狙いを定める。目指しているのは映画祭、ビジネスの多様性の実現だ。そこには地域や制作手法、ビジネスのあり方も含まれる。世界のなかで独自の存在感を持つ日本のアニメーション文化とビジネスは、そうした多様性のなかで不可欠との考えも今回のセミナーの背景にありそうだ。

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