東宝は映画館としての営業を2018年2月に終了すると発表していた千代田区有楽町の「TOHO シネマズ 日劇」の、閉館後の営業予定を明らかにした。
3つある劇場のうち日劇1は、不動産会社のヒューリックに賃貸され、貸しホール「ヒューリックホール東京」として運用される。座席数は約900席で、日劇1の規模を引き継ぐ。首都圏に不足気味とされる中規模のホールとしての需要が期待できそうだ。
また日劇2・3の跡地はコニカミノルタプラネタリウムに賃貸され、プラネタリウムを中心にした複合型映像体験施設となる。従来の枠組みにとらわれない新しい映像体験を提供するとしている。
「ヒューリックホール東京」は2018年夏に、プラネタリウムは18年冬にオープン予定だ。映画館としての役割は終えるが、いずれもエンタテイメントのシアターとして活用される。
TOHO シネマズ 日劇は、1933年に誕生した日本劇場につながる老舗の映画館として知られてきた。有楽町センタービルに3つのスクリーンを収容するいまのかたちは、1983年の再開発後になる。長年、都内の旗艦映画館として愛されてきたが、2018年に近隣の千代田区日比谷にTOHOシネマズ日比谷をオープンするのに合わせて閉館することになった。
しかし、有楽町センタービルは朝日新聞、東宝、松竹の3社共同開発によるもので、東宝は不動産の一部を保有する。このため閉館後の、日劇の利用方法に関心が集まっていた。これに対して東宝は、劇場を引き続き保有し、賃貸することを決定したわけだ。
これは東宝が掲げる「SCREEN & STAGE の街」有楽町・日比谷の一環でもある。2018年に日比谷には、TOHOシネマズ日比谷と日比谷シネシャンテで16スクリーンが登場する。東京宝塚劇場、日生劇場、シアタークリエと実演のための劇場も並ぶ。
さらに周辺に広げると帝国劇場やアルタネイティブシアターもある。日劇跡地の貸しホール、プラネタリウムも加えることで、様々なかたちの劇場エンタテインメトが並ぶ地域となり、これらと連動させた一大エンタテインメントエリアを築く。
観光都市としても急成長する東京だが、ニューヨークのブロードウェイやロンドンのソーホーのような映画、演劇の集積地がないことがしばしば指摘される。東宝は有楽町・日比谷地区をそうしたエリアとして展開したいようだ。