クランチロールブランドを中心とした、ソニーの海外日本アニメ事業の再編・統合が続いている。米国の日本アニメ事業会社クランチロールは、2022年6月1日にフランスとドイツで展開する「KAZÉ」とドイツの「Animax(アニマックス)」を事業統合すると発表した。
「KAZÉ」はフランス・ドイツを中心に日本マンガの翻訳出版とアニメ配給・ビデオソフトの事業を手がけている。もともとは小学館と集英社のヨーロッパ現地法人VIZ メディア ヨーロッパの出版部門であったが、2019年12月にクランチロールがVIZ メディア ヨーロッパのライセンス部門以外の事業を買収して、引き継いでいる。
「KAZÉ」ブランドは特にフランスでよく知られてきた。今回の統合でブランドは「クランチロール」に一新され、マンガ出版やDVD/ブルーレイでも存在感を発揮することになる。マンガ分野でのクランチロールの存在感が強まることは、アニメの会社と思われてきたクランチロールの捉え方も変わることになりそうだ。
一方アニマックス・ドイツは、2022年夏にクランチロールを買収したソニーグループの映画会社ソニー・ピクチャーズのドイツ事業である。もともとはアニメ専門の有線放送チャンネルとしてスタートしたが、現在はドイツ語圏・東欧中心に日本アニメの配信プラットフォームとして活動している。こちらも「クランチロール」ブランドに統合される。クランチロールは従来のクランチロールによる配信のほか、この3月に米国ファニメーションの配信サービス、ヨーロッパのワカニム、Anime on Demand、Anime Digital Networkの配信サービスも事業統合している。
今回の統合で日本アニメ専門配信プラットフォームが乱立していたヨーロッパで、旧クランチロール系、ファニメーション系(FunimationNow)、VIZ メディア系(Anime on Demand、Anime Digital Network)、アニプレックス系(ワカニム)、ソニー・ピクチャーズ系(アニマックス)の全てが事業統合されることになる。配信プラットフォームとしての影響力も増しそうだ。
クランチロールは2006年に米国でスタートした日本アニメの配信プラットフォーム。2021年にソニーグループが傘下のファニメーション・グローバルを通じて買収、22年に両社が事業統合。ファニメーションがクランチロールにブランンド変更している。配信を通じて世界的に知名度の高いクランチロールを優先した。
このため現在のクランチロールは、旧ファニメーションの事業も含めた総合アニメ企業となっている。現在は関連事業の統合、クランチロールブランドへの統一が進んでいる。