東宝好調続く、第2Q大幅増収増益 「君の名は。」「シン・ゴジラ」映像ソフトも牽引

ファイナンス決算

 国内映画会社最大手の東宝の好調が続いている。2017年10月16日に、2018年2月期第2四半期の決算を発表したが、幅広い事業で売り上げを伸ばし、増収増益となった。
 連結売上高は1392億9700万円で21.1%増、営業利益が322億7400万円(32.3%増)、経常利益が332億8800万円(32.9%増)、そして当期純利益は228億7500万円(37.9%増)である。いずれも高い伸びとなっている。
 前年は『シン・ゴジラ』のヒットがあり、さらに『君の名は。』の大ヒットがあったことを考えれば、それを大きく上回る数字は驚きである。

 2016年の業績が自社製作映画の大型ヒットに依存していたのに対して、今年はよりバランスの取れた業績といえる。
映画製作・配給では、東宝がアニメで『名探偵コナンから紅の恋歌(ラブレター)』、『劇場版ポケットモンスターキミにきめた!』、『メアリと魔女の花』など、実写で『君の膵臓をたべたい』、『忍びの国』、『昼顔』、『帝一の國』といった作品を手がけた。洋画配給でも東宝東和の『怪盗グルーのミニオン大脱走』、『SING/シング』、『ワイルド・スピードICE BREAK』といった大きなヒットがある。
 さらに昨年のヒット作『君の名は。』、『シン・ゴジラ』は、今年も大きく貢献している。期間中に両作品のDVD、Blu‐ray(パッケージ)が発売され再び大ヒットになっている。パッケージ事業収入は前年同期比で188.3%増、約3倍の112億1100万円に達している。
 映画事業全体では、売上が980億1100万円(28.5%増)、営業利益が、237億3800万円(51.3%増)である。

 全体におけるアニメの存在感は依然大きい。東宝配給作品の興行収入ベスト3は、『名探偵コナン』(68.7億円)、『ドラえもん』(44.3億円)、『ポケットモンスター』(34.2億円)とアニメが占めた。ベスト10のうち5作品がアニメである。東宝東和配給でも1位は『怪盗グルーのミニオン大脱走』(71.4億円)、『SING/シング』(51億円)と海外のアニメーションである。
 またアニメ製作事業では、テレビアニメ『僕のーローアカデミア』、映画『名探偵コナンから紅の恋歌(ラブレター)』、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』に出資した。アニメ製作事業収入は55億7800万円(95.0%増)と依然成長を続けている。前年比でほぼ倍になる。それだけに今後も東宝のアニメ重視は続きそうだ。下半期は、ゴジラを初めてアニメ映画とした、3部作『GODZILLA怪獣惑星』が注目作品になる。

 演劇事業も好調で、売上74億4700万円(11.9%増)、営業利益16億2900万円(25.1%増)。『Endless SHOCK』、『王家の紋章』、『レ・ミゼラブル』、『ジャニーズ銀座2017』、『RENT』、『GACHI~全力entertainment4U~』が牽引した。
 不動産事業は、売上高317億8800万円(0.6%増)、営業利益は86億4600万円(4.4%減)である。旧東宝不動産の行っていた保険代理店事業を事業譲渡したことも影響した。

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る