TVアニメ「宝石の国」 アニメーション制作はCGスタジオのオレンジ 新たな映像に挑戦

宝石の国

 CGアニメ制作のオレンジが、新たなアニメ表現に挑戦する。2017年10月7日より放送開始する『宝石の国』で、テレビシリーズのアニメーション制作をする。
 これまでにも数々のテレビアニメ、劇場アニメに参加してきたがオレンジだが、単独でアニメーション制作の元請をするのは今回が初になる。作品は現在アニメ業界で注目の高いセルルックCG。技術力に定評のあるオレンジだけに、どのような映像が作られるのか、大きな関心を集めそうだ。

 オレンジは2004年に井野元英二氏が設立したCGスタジオ。これまでアニメを中心に活躍してきた。とりわけ2D作画アニメと3DCGアニメの融合を得意とする。関わった作品は、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズや「攻殻機動隊 ARISE」シリーズ、『マクロスF』など話題作、傑作が数え切れない。
 一方でCGアニメを専門とすることから、作画アニメ作品のCGパートのみを手がけることが多かった。これまで『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』、『NORN9 ノルン+ノネット』などの他スタジオとの共同制作はあった。単独での元請作品はなかったが、これが今回実現する。
 
 単独でのアニメーション制作は、近年、セルルックCGがテレビや劇場で新しいアニメの潮流となってきたことにあるだろう。ここ数年でサンジゲンの『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』(2013年)や、グラフィニカの『楽園追放 -Expelled from Paradise-』(2014年)、ポリゴン・ピクチュアズの『シドニアの騎士』(2014年)、東映アニメーションの『正解するカド』(2017年)などが次々に現れている。
 しかし注目が高い一方、セルルックCGでテレビアニメ、劇場映画を制作できるスタジオは逆にこれらの企業に限られ、まだまだ数は少ない。セルルックを得意とするオレンジのこの分野への参入は、待ち望まれていたと言っていいだろう。

 『宝石の国』は、講談社「アフタヌーン」で連載する市川春子原作の人気マンガを映像化する。遠い未来、不死の身体をもつようになった「宝石」と呼ばれるものたちと月から飛来する月人との戦いを描くSFファンタジーである。個性たっぷりの世界観と、宝石たちの美しさが大きな特長だが、これが3DCGで表現される。
 監督は『ラブライブ!』、『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』の京極尚彦。キャラクターデザインに『ラブライブ!』、『ハルチカ』の西田亜沙子、シリーズ構成に演劇ユニット ニュアンサー主宰、そして『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』や『DIVE!!』の大野敏哉といった実力派が並ぶのも目を惹く。
 最新PVも公開され、放送に先駆けての第1話から第3話までの一挙上映イベントの開催も決まった。秋に向けての期待も高まる。

TVアニメ『宝石の国』
http://land-of-the-lustrous.com/

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