フランスの映画配給会社Eurozoomが、日本アニメの劇場ビジネスに大きく舵を切っている。5月に『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール』、7月に『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』を公開、さらに8月30日からは『夜明け告げるルーのうた』が封切になる。
また2017年11月17日には、『劇場版 マジンガーZ』を日本の2018年1月13日公開に先立って上映する。これは世界初となるイタリアの2017年10月に続くものだ。積極的な新作公開で、フランスのアニメファンをがっちりと掴む構えだ。
Eurozoomは1997年に設立されたフランスのインディペンデントの配給会社である。フランス映画を中心に作家性の高い作品を手がけてきた。その流れの中で、黒沢清、岩井俊二らの監督作品、スタジオジブリといった邦画も多く扱っている。
『サマー・ウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』といった細田守作品でヒットを飛ばし、アニメ映画を得意とするようになった。配給作品には、原恵一の『カラフル』、『百日紅』、さらに荒牧伸志の『APPLESEED』などがある。
Eurozoomの特徴は、作品の幅の広さにある。「劇場版 NARUTO」シリーズや『ONE PIECE FILM Z』といったキャラクター人気の作品を配給する一方で、『ジョバンニの島』、『サカサマのパテマ』、『花とアリス殺人事件』といった日本での興行成績と別の視点を持っている。Eurozoomにとって日本アニメは最重要カテゴリーと言ってもいい。
アジアの一部の地域を除けば、日本アニメの劇場公開はどの国も多くない。そのなかでフランスで日本アニメの公開が多いのはEurozoomの活動によるところが大きい。
それでも2017年の公開はハイピッチで、しかも日本公開からのあまり時間が経っていないものが多い。これは2016年12月28日にフランス公開された『君の名は。』の存在が大きい。Eurozoomによれば、『君の名は。』は、フランスで観客動員数が25万人を超えている。これを大きな成功と位置付けている。
そこで2017年は『劇場版 ソードアート・オンライン』を日本公開から2ヵ月で上映、アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(グランプリ)受賞の『夜明け告げるルーのうた』と話題作を投入する。日本より2ヵ月近く早い公開となる『劇場版 マジンガーZ』は、とりわけ目玉と言っていいだろう。
劇場アニメでフランス市場にどの程度、成果を残すことが出来るのか。Eurozoomとフランス市場の動向は、今後の日本アニメの海外展開の試金石となるに違いない。
Eurozoom
http://www.eurozoomcine.com/