海外向けに日本アニメの配信サービスを提供してきた「DAISUKI」が、2017年10月末で、同サービスを終了することになった。8月1日、DAISUKI公式サイトで告知された。
プレミア会員の課金は6月末が最終となり、新規の受付はすでに停止している。8月末にはレンタル視聴サービスを終了、10月末には『ドラゴンボール 超』以外の配信サービスを停止する。12月15日にはSNSを通じた情報発信、カスタマーサービスも終了する予定だ。
DAISUKI.netは、株式会社アニメコンソーシアムジャパンが運営する日本アニメの映像配信の有力プラットフォーム。アサツー ディ・ケイ(ADK)、アニプレックス、サンライズ、東映アニメーション、トムス・エンタテインメント、日本アドシステムズ、電通の国内有力アニメ企業7社の出資で2012年10月に設立したDAISUKI株式会社がスタートになっている。
DAISUKI株式会社は国内業界が協業することで、日本からのアニメ文化発信を目指した。主要な事業は、日本との同時配信も含めた海外向けのアニメ動画サービスであった。海外資本の映像プラットフォームやインターネット上の違法動画に対抗する狙いもあった。
しかし、ユーザー数は当初の期待ほど伸びなかった。2014年10月にはバンダイナムコホールディングス(バンダイナムコHD)、ADK、アニプレックスが共同設立、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)が出資する株式会社アニメコンソーシアムジャパンに統合された。
さらに17年3月には筆頭株主であったバンダイナムコHDが他社保有分の株式を約21億円で取得、完全子会社化したばかりであった。経営がシンプルになったことで、大きな決断に踏み切ったとみられる。
これで2013年4月から4年あまり続いた「DAISUKI」ブランドの映像配信プラットフォームが幕を閉じる。また日本資本による海外向けアニメ配信サービスの目標も途切れることになる。
DAISUKIのビジネスが当初の目論見どおりにいかなかったのは、サービスのスタート時期に海外でのアニメを巡る状況が大きく変ったことも理由だ。先行していた同業のクランチロールや各社のアニメ配信サービスが拡大し、海外向けのライセンス価格が急騰した。このため当初DAISUKIが準備した資金では充分な作品を確保出来ず、ラインナップの不足が後発のDAISUKIの弱点となった。さらに複数の大株主により経営されていることで、機動的な事業運営が出来なかったと見られる。
事業の多角化も目指したが、ECサイト事業も短期間で終了。現在は海外向け英語情報サイトの「ANIME NOW」の運営がDAISUKIと共に主要事業になっている。
DAISUKIは終了するが、4年あまりで培った海外ファンへのアクセスは貴重な資産になる。アニメコンソーシアムジャパンの今後の方向性も関心を呼びそうだ。