エイベックス・ピクチャーズ、「マブラヴ」のイクストル子会社化 ゲーム事業進出

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 エイベックス・グループ・ホールディングスの子会社で、アニメ製作事業のエイベックス・ピクチャーズがゲーム事業に本格進出する。2017年7月10日、「マブラヴ」シリーズで知られるゲーム会社の株式会社イクストルの発行済株式の90%を取得、子会社化した。
 イクストルの株式は、代表取締役社長の中西孝氏が60%、文化放送が20%、グッドスマイルカンパニーが20%保有していた。エイベックス・ピクチャーズは、このうち文化放送トグッドスマイルカンパニーから全株式、中西孝氏より50%分を取得する。中西氏は引き続き10%の株式を保有し、引き続き代表取締役社長として経営にあたる。
 加えて岩永朝陽氏、エイベックス・グループ・ホールディングスの代表取締役社長CEOの松浦勝人氏、同執行役員の柴田肇氏、エイベックス・ピクチャーズ代表取締役社長の勝股英夫氏が取締役に就任する。エイベックス・グループのゲーム部門として、事業拡大を目指すことになりそうだ。
 株式の取得価格は非公表、イクストルの売上高も公開されていないが、買収による経営の影響は2018年3月期では軽微としている。

 イクストルは、2011年に設立された。『マブラヴ』を起点にしたゲームシリーズのIP(知的財産権)を保有している。「マブラヴ」シリーズは、国内外で熱烈なファンが数多いことで知られている。シリーズが数々の続編が製作された。
 メディアミックスも活発で、これまでに『トータル・イクリプス』(2012年)、『シュヴァルツェスマーケン』(2016年)と2度にわたりテレビアニメ化された。いずれの作品もエイベックス・グループが映像ソフトを発売している。両社はこれまでもビジネスのつながりが深かった。

 今回の買収について、エイベックス・グループはゲーム事業への進出を挙げる。イクストルが保有するタイトルで多角的なゲーム事業を開拓し、そのなかにはソーシャルゲーム化も含めるとする。
 エイベックス・グループは、2020年に向けた成長戦略で「ライヴ」「アニメ」「デジタル」の3つを重点分野に挙げている。ゲームもそのなかのひとつというわけだ。

 一方で、今回の決定は、エイベックス・ピクチャーズの脱パッケージ、事業多角化戦略も垣間見える。2015年よりアニメの映像ソフトの売上は縮小傾向となっている。エイベックス・ピクチャーズは、近年『おそ松さん』、『ユーリ!!! on ICE』といった大ヒットタイトルがあるが、アニメ配信の普及もあり、今後は、DVDやBlu‐rayといった映像ソフト市場全体では大きな回復は見込めない。
 そこで映像ソフトメーカー各社は、映像ソフト以外へ事業の多角化を目指している。エイベックス・ピクチャーズは、そのひとつとしてゲームを選び、アニメとも親和性の高い「マブラヴ」の獲得に動いた。

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