「攻殻機動隊」新作アニメ制作 神山健治と荒牧伸志の二大監督で

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 1989年にマンガ家・士郎正宗が最初に世に発表して以来、絶大な支持を集めるサイバーパンクSFマンガが『攻殻機動隊』である。作品は近未来のデジタル社会をいち早く予言、その独自の世界観はゲームや実写映画、小説など様々なメディアに拡張している。
 なかでもシリーズを大きく印象づけたのが、プロダクション I.Gと共に創り出してきたアニメである。1995年に押井守が監督した『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』と2004年の『イノセンス』、2002年に神山健治監督のもとスタートした「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズ、2013年からの黄瀬和哉総監督による「攻殻機動隊 ARISE」シリーズがいずれも傑作として知られている。そんなアニメ『攻殻機動隊』の新アニメが制作されることになった。

 アニメ製作会社のIGポートは、グループ会社のプロダクション I.Gが『攻殻機動隊』の新たなアニメーションを制作すると発表した。アニメ化は、2015年のテレビシリーズ『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』以来となる。アニメーション制作をお馴染みのプロダクション I.Gが引き続き担当することでファンからの期待に応える。
 さらに監督が話題を呼びそうだ。神山健治と荒牧伸志の両監督の起用が決定している。神山健治はこれまでも「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズで、いくつもの『攻殻機動隊』の映像化に手腕を発揮してきた。荒牧伸志は士郎正宗のもうひとつの代表作『アップルシード 』を3度にわたり劇場アニメ化し、世界的に高い評価と人気を獲得している。原作者からの信頼も厚い。

 作品の詳細や情報は、まだ少ない。新作が映画なのか劇場なのか、あるいは配信であるかなどは不明だ。タイトルや展開時期も未定だ。
 一方でやはり注目されるのは、神山健治と荒牧伸志の個性の異なる大物監督が並び立つことである。荒牧伸志は近年、モーションキャプチャを活用したフルCG作品を中心に手掛けており、今回も、そうした技術や新しい制作の試みがある可能性はかなり高いだろう。ストーリーや世界観と同様、映像や技術も期待される。
 神山健治は、先日、親子の絆をテーマにした『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』が公開されたばかりだが、再び、広大なネットの海に引き寄せられたかたちだ。

 新作アニメ決定の発表のタイミングは、同日、ハリウッド実写映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』が日本劇場公開となったのに合わせた。映画の盛り上げにも一役買うが、通常、ハリウッド映画が他の映像化プロジェクトと並行して動くことはなく、絶妙なタイミングを狙ったことになる。
 誕生以来27年、『攻殻機動隊』のプロジェクト展開は、まるで終りがないようだ。

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