1985年にスタートし、今年で29回目を迎える東京国際映画祭が今年は10月25日から11月3日まで東京・六本木ほかで開催される。その歴史の長さからもよく知られたイベントだが、近年は若い世代に映画祭と映画を知ってもらうことを目的とした様々な企画が盛り込んできた。映画ファンの高齢化を食い止めたいとの狙いもある。
そうした2016年は、思いっきり若い世代に向けた新部門が設けられることになった。未就学児や児童、そして10代に向けたユース部門である。
ユース部門は「TIFFチルドレン」と「TIFFティーンズ」のふたつから構成し、それぞれの世代に向けた映画をセレクトする。「TIFFチルドレン」は3歳から小学生をターゲットに、世界から集めた短編、長編を上映する。11月2日から6日まで、会場は六本木を離れ、世田谷区のシネマズ二子玉川になる。一方、「TIFFティーンズ」の狙いは中学生と高校生、この世代を主人公、主題にした秀作を集める。
映画祭に馴染みが薄い若い世代を惹きつけるだけでなく、大人世代にとっても国内外の優れたキッズ映画を観るチャンスとなる。プログラムの詳細は9月下旬のラインナップ発表会で明らかになる。
もうひとつ若い世代から人気を呼びそうなのが、「TIFFアニ!!」 in 東京国際フォーラムである。こちらはアニメの音楽こと「アニソン」にフォーカスした東京国際映画祭アニメイベントだ。
映画祭では日本のアニメが海外でも人気が高いことから、日本のポップカルチャーの情報発信の核としてアニメ映画に注力してきた。2016年も、『バケモノの子』『時をかける少女』などで世界的に知られる細田守監督をアニメーション特集として取りあげる。
これに「TIFFアニ!!」が加わることで、映画祭がさらにアニメの華やかさで彩られそうだ。開催日は10月31日、当日は仮装でもお馴染みのハロウィンにも重なる。一日限りのスペシャルなイベントが期待できる。
勿論、コンペティションや招待作品も、例年どおり力が入る。今回、オープニング作品にはメリル・ストリープとヒュー・グラントの二人の名優が共演する『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』に決まった。しかも、映画祭に合わせて両人が来日する。
またクーロージング作品は、夭折の名棋士村山聖を松山ケンイチが演じる『聖の青春』。松山のほか、東出昌大、染谷将太と若手実力派が揃い踏みとなる注目の一本である。
さらに歌舞伎座スペシャルナイト、国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭が共同プロデューサスする「アジア・オムニバス映画製作シリーズ 『アジア三面鏡』」、野外上映と盛りだくさんである。今後発表されるコンペティションと併せて映画祭を飾ることになる。
第29回東京国際映画祭
2016年10月25日~11月3日
http://2016.tiff-jp.net/ja/