「アイマス」好調の日本コロムビア 外資ファンドが公開買付け提案

ファイナンス決算

 2017年6月1日、外資系投資ファンドRMBキャピタルは、音楽会社の老舗である日本コロムビアに公開買付けの提案をしたことを明らかにした。RMBキャピタルは日本コロムビアの取締役会の賛同を得られることを条件に、同社の株式の一部、または全部を対象に公開買付を実施する方向だ。
 株式の買付け価格は790円、5月31日の終値の701円より12%高い。会社の評価額は約1070億円となる。日本コロムビアは公開買付けの提案を受けていることを認め、詳細と見解は6月1日中に発表するとしている。

 RMBキャピタルは提案をしたものの実際に公開買付が実施されるかどうかは、微妙だ。RMBキャピタルは日本コロムビアの取締役会の賛同に加えて、事業のデューディリジェンス(精査)の協力も条件としている。
 これには日本コロムビアの株式の50.98%を保有するフェイスの協力が不可欠だ。日本コロンムビアとフェイスは今年3月28日に株式交換を通じて、日本コロンムビアの完全子会社を決めている。この際には、株式の交換比率は日本コロンムビア1株に対してフェイスが0.59株としている。フェイスの5月31日の終値1191円を基準にすれば、日本コロンムビアの理論価格は702円。RMBキャピタルの提案価格790円は、これより10%以上高い。
 RMBキャピタルは公開買付けの提案の条件に、この価株式交換契約の中止も求めている。実際の公開買付も視野にいれつつも、日本コロムビアへの事業価値が過小評価されているとみたRMBキャピタルによる株式交換条件の引き上げも狙っている可能性がある。

 日本コロムビアは創業1910年、100年を超える歴史を誇る音楽会社である。長年、演歌や歌謡曲を得意とし、数多くの楽曲カタログを保有する。アニメ音楽についても、70年代、80年代に数多くのタイトルを手がけた。日本のアニメ音楽の開拓者として、歴史上でも欠かせない存在だ。
 しかし、90年代以降は業績が低迷することが多く、2001年には外資系投資ファンドリップルウッド傘下に入った。その後も、資本関係はたびたび入れ替わり、事業体制の再編が繰り返された。フェイスの傘下に入ったのは2010年。2015年以降、『アイドルマスター シンデレラガールズ』の大ヒットをきっかけに急激に業績を回復させている。

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