原画などアニメ制作素材のアーカイブを目指した調査報告書、ウェブ公開

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 マンガやアニメーション、ゲーム、メディアアートの情報を発信する「メディア芸術カレントコンテンツ」にて、2017年5月18日に「手描きアニメーション原画および各種素材に関するアーカイブ手法確立のための調査研究」が公開された。一般社団法人日本アニメーター・演出協会がまとめたレポートだ。
 タイトルは少し長めだが、アニメ制作過程のなかで生まれた原画や絵コンテ、背景美術などの制作素材の保存に向けた方法や試みを紹介する。レポートでは、現在、民間で行われているアーカイブを取材し、その手法を明らかにしている。さらにアニメ特撮アーカイブ機構が行った『宇宙戦艦ヤマト』、『機動戦士ガンダム』の資料の整理・保存の過程を通して、アーカイブ化のノウハウを抽出した。

 「メディア芸術カレントコンテンツ」は、メディア芸術の振興を目的に文化庁の事業として運営されている。今回の調査・レポートも文化庁のメディア芸術連携促進事業のひとつとして行われた。
 調査にあたっては、文化庁、日本アニメーター・演出協会のほか、アニメスタジオのカラー、アニメ特撮アーカイブ機構が協力した。また調査にあたっては、アニメ・特撮研究家の氷川竜介氏、明治大学准教授の森川嘉一郎氏、また井上幸一氏、辻壮一氏が参加した。「メディア芸術カレントコンテンツ」には、三好寛氏による中間報告会、最終報告会のレポートも掲載している。

 日本の商業アニメーションは、2017年で100周年を迎える。その作品は国内外で高い人気を博し、カルチャーとしての日本のアニメーションは活況を呈している。
 しかし、過去作品の保存といった点では、必ずしも十分でない。情報や研究の整理はもとより、その基盤になる古い作品やその資料の保存は十分でなく、事実関係が分からなくなっていることも少なくない。それはテレビや劇場映画が急拡大した1960年代以降、70年代、80年代の作品についても同様だ。大衆芸術とみられるがゆえに、制作の際に作られた設定、脚本、台本、原画、動画、レイアウト、背景美術やセル画などがきちんと保存されず、大半が散逸しているからだ。
 2000年代になり、そうした資料を保存する機運は高まっている。しかし、その保存方法や管理・運営組織、資金などの課題が多い。

 今回のレポートは、そうしたなかで資料保存を積極的に進めるサンライズ、プロダクション I.G、三鷹の森ジブリ美術館を取材し、そのノウハウをまとめた。その中で費用不足、保管場所などの共通の問題も明らかにしている。
 さらに調査から得られたノウハウをもとに、氷川竜介氏の寄贈による『宇宙戦艦ヤマト』、『機動戦士ガンダム』の資料の整理、保存を実践した結果を報告している。アニメの古い資料は、制作関係者などが個人として保管をしているケースも少なくない。そうした点でも、興味深い試みといえそうだ。

「手描きアニメーション原画および各種素材に関するアーカイブ手法確立のための調査研究」
http://mediag.jp/article/report-actf2016-archive/

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