2018年11月2日から5日まで、4日間にわたり開催される新千歳国際空港アニメーション映画祭の関連企画が出揃っている。今年で5回目を迎える映画祭は、新たに長編コンペティション、短編コンペティション学生部門を設けるなどコンペ部門の拡大と充実が目を惹く。
一方で2018年は、それ以外の招待上映やトーク・講演・展示といった関連企画も盛りだくさんだ。映画祭は「コンペティション」「招待作品」「展示・ワークショップ」の3つから構成しているが、それぞれが濃厚になった。
新千歳の特長は、アニメーション作家の活躍するインディーズシーンに加えて、テレビアニメーションやアニメファンにお馴染みの劇場アニメもカバーすることだ。4日間で、現在のアニメーションシーンを様々な視点から一望する。
■「秒速5センチメートル」も、「犬ヶ島」も、まさかの爆音上映
招待作品では、映画祭名物でもある爆音上映会が今年も話題を呼びそうだ。ライブ音響機材を用いた迫力たっぷりの音で映画を楽しむというものである。
新海誠監督作品のなかでもよく知られた『秒速5センチメートル』が、まさかの爆音上映となる。さらにベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞したウェス・アンダーセン監督の『犬ヶ島』も。いずれも爆音上映は世界初だ。
招待作品の多くで、クリエイターやスタッフがゲストとして新千歳に訪れる。『リズと青い鳥』では山田尚子監督が舞台挨拶を、『詩季織々–しきおりおり-』ではコンペティションの国際審査員も務めるリ・ハオリン監督が登壇する。
声優ファンにも見逃せない企画がある。『少女☆歌劇レヴュースタァライト』の上映会では、愛城華恋役の小山百代さん、湊友希那役の相羽あいなさんがゲスト。『ゴールデンカムイ』セレクション上映会では主役キャストの小林親弘さん(杉元佐一役)、白石晴香(アシㇼパ役)の2人がトークを繰り広げる。
テレビアニメーションは、海外作品もある。カートゥーンネットワークの人気シリーズ『サマーキャンプアイランド』の上映は国際色を盛り上げそうだ。2019年の国内テレビ放送開始に先立った特別企画だ。
また今年4月に逝去した高畑勲監督を追悼して、監督の代表作『パンダコパンダ』、『パンダコパンダ雨ふりサーカスの巻』も上映される。
勿論、アニメーション作家の作品も外せない。「北海道現代アニメーション総進撃!2018」は地元のクリエイターにフォーカスする新千歳ならではの企画だ。
■グラフィニカ、スタジオコロリド、コミックス・ウェーブ・フィルムまで:スタジオフォーカス
魅力的なトークイベントも多い。今年はスタジオに注目した企画が多彩だ。「スタジオ・プレゼンテーショングラフィニカ-進化を続ける総合デジタルスタジオ-」、スタジオフィーチャーには「スタジオコロリド」と「コミックス・ウェーブ・フィルム」が登場する。
さらに『ペンギン・ハイウェイ』で高い評価を得た石田祐康監督が、本作までの道のりを語る。フジテレビのプロデューサーとして活躍した福原伸治氏は「ウゴウゴルーガの時代」をテーマに、数土直志の特別講演「アニメの企画はどこから生まれるのか。アニメ会社の新たな流れ」もある。
また特集企画の「『TVと実験』上映&福原伸治氏・須藤孝太郎氏スペシャル座談会」では福原伸治氏と『ポプテピピック』の須藤孝太郎プロデューサー、世代を超えた異才のトークがクロスする。
■アーティスト、キューレータも語り尽くすプログラム
国際審査員が自身の作品と活動を紹介するマスタークラスも外せないプログラムだ。キューレータのアネット・シンドラー氏は、スイスのファントーシュ国際アニメーション映画祭を作品上映と共に披露。マーク&エマは現在世界各国の映画祭で大注目の『The Magnificent Cake!』のメイキング・トークを実施する。
谷口暁彦氏、エマニュエル=アラン・レナール氏、冠木佐和子氏、久野遥子氏、橋本麦氏ら、豪華な面々が次々に登場する。
これら以外にも展示、ワークショップ、アフレコ体験。さらには「映画祭5周年記念セレクション」、日本とASEANのアニメーション作家たちの交流プロジェクト「ANIME-ASEAN」、「日本アニメーション学会秋の研究集会」まで。
4日間とは思えないボリュームに圧倒され、来場者も何をまず見るべきかを悩むことになりそうだ。それぞれのプログラムの詳細は、映画祭の公式サイトで確認出来る。
新千歳国際空港アニメーション映画祭 http://airport-anifes.jp/