民放16社が動画配信プラットフォームで協力 JOCDN増資で株主拡大

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 国内主要民放局が、映像配信プラットフォームの構築で団結することになった。国内向けの配信プラットフォーム事業のJOCDN株式会社は4月3日付で第三社割当増資を実施、新たに在京キー局4社、在阪、在名古屋の民放10社が株主に加わった。
 JOCDNは、2016年12月1日に、映像配信プラットフォームサービスの提供、放送システムの構築・運用を目的にインターネットイニシアティブ(IIJ)と日本テレビ放送網の折半出資で設立されたばかりだった。当初から民放各局の参加を呼びかけるとしており、早くもその体制が整ったことになる。

 第三社割当増資後、IIJは持株比率20%で筆頭株主にとどまる。一方、日本テレビはテレビ朝日ホールディングス、東京放送ホールディングス、テレビ東京ホールディングス、フジテレビジョンの4社と同じ14%になる。在京キー局は横並びになる。また大阪、名古屋の各局の出資比率は1%ずつとした。増資によりJOCDNの資本金は7億1000万円まで拡大し、資金余力も増した。
 代表取締役会長にはIIJの鈴木幸一氏、代表取締役社長には日本テレビ出身の篠崎俊一氏が務める。JOCDNは、今回の増資で経営基盤を強化し、民放各社とIIJの協力で高品質でコストパフォーマンスの優れたサービスの提供を目指すとしている。

 日本の主要な地上波民放局が全て参加する大きな取り組みとなったが、今後の取り組みはやや不透明だ。JOCDN事業には「国内向け動画配信プラットフォームサービスの提供、および放送システムの構築・運用」とあるが、このプラットフォームがどのようなかたちになるのかが明らかでない。
 統一プラットフォームに各社がコンテンツを提供するかたちは理想としてあるが、すでに大手各局は独自にHuluやFOD、あにてれなどを運営している。さらに見逃し配信に特化した民放が連携するテレビポータルTVerも存在する。もし新たなプラットフォームとなれば、同種の事業に何重にも投資することになる。

 インターネットインフラの構築・運用を得意とするIIJが中心となることで、各局が独自に行ってきたインフラ投資の予算を一本化、コストを削減という方法もありそうだ。各局が同じシステムで、それぞれのサービスを提供するわけである。
 しかし、このやりかたでも現在各局がサービスで使うシステムを大幅に入れ替えることになる。サービスを併用すれば、コスト削減どころか二重投資である。インフラの一本化に参加16局全てが対応できるのかも不透明だ。

 一方で、国内の映像配信サービスは、数え切れないほどの数が存在し、過当競争状況にある。今後、運営終了するサービスが現れてもおかしくない状況である。それは放送局系のサービスでも同様だ。
 また多くのサービスがあることで、人気作品がばらばらに提供され、ユーザーが異なる場所で異なるシステムを使わなければいけない不便性もある。JOCDNはそうした課題を解決するかもしれない。映像配信サービス業界全体の動向と併せて、JOCDNの今後も注視される。

[JOCDN株式会社 株主構成]

インターネットイニシアティブ 
20.0%
日本テレビ放送網/テレビ朝日ホールディングス/東京放送ホールディングス/テレビ東京ホールディングス/フジテレビジョン
各14.0%
MBSメディアホールディングス/朝日放送/テレビ大阪/関西テレビ放送/讀賣テレビ放送/東海テレビ放送/中京テレビ放送/中部日本放送/名古屋テレビ放送/テレビ愛知
各1.0%

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