「ルパン三世 カリオストロの城」 旧作で初のMX4D公開、興収3日間2160万円

原作:モンキー・パンチ (c)TMS

 2017年1月20日から、映画『ルパン三世 カリオストロの城』MX4D版が、期間限定公開をスタートした。上映は全国16館のTOHOシネマズMX4DスクリーンとMOVIE ONやまがたの17館と限られていたが、これが好調な興行となっている。
 とりわけ都心部で高い人気を得ており、公開から3日間、金、土、日の興行収入は2159万5200円となった。観客動員は9816人、およそ1万人規模である。なかでも旗艦劇場となるTOHOシネマズ 新宿では土日に座席が完売するほどとなった。

 MX4Dは「MediaMation MX4D」のことで、米国・ロサンゼルスに本社があるMediaMation社が開発した。映画のシーンに合わせて客席のシートが、前後、左右、上下に動き、さらに風や霧、ストロボ、煙、振動などの特殊効果が、映画の演出を盛り上げる。
 映画をあたかもテーマパークのアトラクションのように、五感で楽しむ。近年、映画館のイベント化が進んでいるとされるが、まさに映画館でしか楽しめない経験を提供するシステムである。

 MX4DはこれまでSFやアドベンチャー、ファンタジーなどの新作映画で多く導入してきた。しかし今回は、『となりのトトロ』や『風の谷のナウシカ』などでお馴染みの宮崎駿監督の37年前の傑作をピックアップした。
 トムス・エンタテインメントによれば、新作映画の枠を超えて旧作をMX4D化して公開するのは、国内初だという。さらに今回は大手アニメ会社であるトムスが自ら配給を手がけている。アニメ会社の新事業の開拓、そして豊富な旧作の新たな活用法となっている。
 上映にあたっては、入場料金をこれまでのMX4D版の料金(一般3000円)よりも価格を引きさげた2200円均一としている。より手頃な価格でMX4Dを身近にするといったビジネスの工夫もされている。

 一方で、そのクオリティは安心できる。MX4D化は、今回のためにソニービジネスソリューションとダイナモアミューズメントが担当した。
 映像は2014年に公開されたデジタルリマスター版をベースにしている。フィルムの汚れを除去、ノイズも取り除かれて、音声は5.1チャンネルとなる。何度も繰り返し観たファンの多い作品ではあるが、もう一度観たいと思わせるのに十分な作品と言えるだろう。

『ルパン三世 カリオストロの城』 MX4D上映公式サイト
http://www.lupin-3rd.net/mx4d/
配給:トムス・エンタテインメント
原作:モンキー・パンチ (c)TMS

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