
6月21日の開幕まで2ヶ月を切る2026年のアヌシー国際アニメーション映画祭が、公式上映のプログラムを順次発表している。
なかでも作家性が強く打ち出されることから関心を詰めるのが短編作品だ。2026年は「短編公式(Short Films Official)」「パースペクティブ(Perspectives)」「オフリミット(Off-Limits)」「ヤング・オーディエンス(Young Audiences)」「ミッドナイト(Midnight Shorts)」「WTF」の6部門に99作品が選ばれた。さらにここに「Graduation Films(学生部門)」の43作品が加わる。これまで短編部門とされていた「テレビ」と「Commissioned Films(受託作品)」は、今年は短編から独立カテゴリーに切り分けられている。
上映本数だけ見れば短編の数は多く感じるが、毎年2000作品以上が応募されるだけにかなり狭き門。こうしたなかでも日本からも複数の作品が選ばれた。
メインコンペに位置づけられる「短編公式(Short Films Official)」の上映は34作品、近年は部門が細かく分かれたことから以前より本数が絞り込まれている。
このなかに日本の巨匠・山村浩二氏の最新作『春の海』が選出された。箏曲家・宮城道雄が1929年に作曲した「春の海」に合わせ、瀬戸内海をイメージした情景を水墨画風で描く手描きアニメーションである。過去の同映画祭で最高賞に輝いた山村氏だけに、活躍が期待される。
多様な視点と技法で現代社会を描く作品をセレクトするパースペクティブ部門には、日本から2作品。ヤカタ・カナタ氏の『Bucketman』は、バケツをかぶって暮らすことが強いられて人々の住む街を舞台にする。こちらも手描きアニメーション。
宮嶋龍太郎氏の『Rest』は、10万本の針から構成されたピンスクリーンを用いて制作した。東京藝術大学大学院出身で、山村浩二氏がプロデュースしている。
2026年のアヌシーの新しい動きはミッドナイト部門とWTF部門の新設だろう。もともとミッドナイトはコンペ以外の作品として長編映画で実施されてきたが、それが短編部門にも広がる。芸術性や技法が重視される公式コンペに対して、犯罪・スリラー、ホラー、ファンタジー、SFなどジャンル映画の領域をカバーする。WTFはユーモアなど日常な些細な出来事を描く作品をフィーチャーする。いずれもこれまでの短編作品の領域や評価を拡張する試みだ。
このうちミッドナイト部門の12作品に、日本から2作品がピックアップされた。長屋誠志郎氏が監督・脚本の『庭には二羽ニワトリがいた。』、アニメーション制作はゼクシス。『チェンソーマン』『ルックバック』で知られる藤本タツキ氏のマンガを原作にした。
もうひとつの作品は山田遼志氏の『Builder』だ。コマーシャルやミュージックビデオ、イラストレーションも手がける手描きアニメーションのベテランである。
学生部門は43作品で、日本からは3作品。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻カク・イニ氏の『プランクトン α』とクワ・ウケン氏の『そしてナイフを手にした』、それに多摩美術大学のイーリン・ワン氏の『ビンタ』である。いずれも日本作品ではあるが監督は海外出身者と、国際化する日本のアニメーション教育を反映したかたちだ。











