
6月21日から27日までフランスで開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭が、4月28日にコンペティション部門の最後となる長編映画の出品作を発表した。2026年は短編、シリーズで日本からの上映が目立ったが、長編部門でも日本作品が多く選ばれている。
メインコンペにあたる長編オフシャル(Feature Films: Official)部門に『我々は宇宙人』のほか、今年はコントレシャン(Contrechamp)部門の4本、アヌシープレゼンツ(Annecy Presents)部門に4本、ミッドナイトスペシャル(Midnight Specials)部門に1本が選ばれている。さらに完成前の作品を世の中に紹介するワークイ・インプログレス(Work in Progress)部門に2作品が登場する。合計12本にも及び、長編における日本の存在感を発揮する。
長編オフシャル部門は全部で11本、多数の応募の中から選りすぐった最高峰ともいえるラインナップだ。例年、受賞作だけでなく上映作品が世界、そして日本でも話題になることが多いだけに最注目である。上映作品は以下のとおりだ。
[長編オフシャル(Feature Films: Official)部門]
『Decorado』 Alberto VAZQUEZ (スペイン)
『In Waves』 Phuong Mai NGUYEN (フランス、ベルギー)
『Iron Boy』 Louis CLICHY (フランス、ベルギー)
『Lucy Lost』 Olivier CLERT(フランス)
『浪浪山小妖怪』 Shui YU (中国)
『Tana』 Ji ZHAO, Ke Er ZHU (中国)
『Tangles』 Leah NELSON (カナダ、米国)
『The Sunrise File』 Rupert WYATT, Emilie PHUONG (フランス、ルクセンブルク)
『The Violinist』 Ervin HAN, Raúl GARCÍA (シンガポール、スペイン、イタリア)
『Viva Carmen!』 Sébastien LAUDENBACH (フランス)
『我々は宇宙人』 門脇康平 (日本、フランス)
日本からの『我々は宇宙人』は、新鋭29歳の門脇康平が監督を務める。小学生の頃から親友だった二人の主人公を描く。日本のNOTHING NEWとフランスのMIYUプロダクションとの共同製作で、5月のカンヌ映画祭でも監督週間でオフィシャル上映される。
カンヌ映画祭では近年、アニメーション映画への関心が高まっており、アヌシー長編オフシャル部門との上映が被ることが増えている。カリフォルニアを舞台にサーフィンをする恋人たちを描いた『In Waves』(フオン・マイ・グエン監督)は批評家週間のオープニングにも選ばれている。
同じく長編コンペのうちルイ・クリシー監督の『Iron Boy』はある視点部門、リア・ネルソン監督の『Tangles』は特別上映、『Lucy Lost』(オリヴィエ・クレール監督)はファミリー部門でそれぞれ上映だ。監督週間には『我々は宇宙人』のほか、前作『リンダはチキンがたべたい』で高く評価されたセバスチャン・ローデンバック監督の『Viva Carmen!』が登場する。
もうひとつ注目したいのは、中国からの選出だ。昨年の『落凡塵』に続き、2年連続。さらに今年は2本と中国の存在感を示した。
『浪浪山小妖怪』(於水監督)は2D作品として中国最大のヒットとなったファミリー映画である。『TANA』(趙霽監督/與朱可兒監督)は音楽をテーマにしたヤングアダルト向けの作品で、『白蛇: 縁起』や『ナタ転生』などに関わった追光動画出身のスタッフが中心。対称的な2作品の上映だ。
コントレシャン部門も11本が選ばれた。斬新で新しい表現を重視するのが特徴するコンペティションである。近年は巨匠作品や企画段階からの期待作が多い長編オフィシャル部門より、個性的で幅広い作品が集まると注目度が高い。
日本からはベルリン映画祭のオフィシャルコンペティションにも選ばれた『花緑青が明ける日に』(四宮義俊監督)、『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』(久慈悟郎監督)、『トリツカレ男』(髙橋渉監督)、さらに日本関連として製作に日本からニュディアーが参加する『The Orbit of Minor Satellites』(クリストファー・サリヴァン監督)も上映される。全11本は以下のとおりだ。
[長編コントレシャン(Contrechamp)部門]
『58TH』 Carl Joseph PAPA (フィリピン)
『花緑青が明ける日に』 四宮義俊監督 (日本, フランス)
『Blaise』 Dimitri PLANCHON, Jean-Paul (フランス)
『Muyi』 Julien CHHENG (フランス)
『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』 久慈悟郎監督 (日本)
『Son of a Bitch』 Érica MARADONA, Otto GUERRA, Tania ANAYA, Sávio LEITE (ブラジル)
『Spacetime Chronicles』 Stefano BERTELLI (イタリア)
『トリツカレ男』 高橋渉監督 (日本)
『The Orbit of Minor Satellites』 Christopher SULLIVAN (米国/日本)
『Welcome to Dolly’s House』 Seven YCH, Rady FU, Tree MUTA (台湾)
『Winnipeg, Seeds of Hope』 Beñat BEITIA, Elio QUIROGA (スペイン、チリ、アルゼンチン)
ふたつのコンペで共通する特徴は、アジアの躍進だ。上映作品は地元フランスが例年圧倒的に多く、今年も全体の半分を占めるが、それ以外では合作を含めると日本、中国、シンガポール、台湾で10本にもなる。
日本を除いても5本で、これは北米2本、ラテンアメリカ2本より多い。アラブやアフリカ、東ヨーロッパ、オセアニアからは今年はコンペティション作品がなく例年に比べると地域の偏りがみられる。
このほか日本からは、アヌシープレゼンツ部門が14本のうち4本、『えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』(廣田裕介監督)、 『パリに咲くエトワール』(谷口悟朗監督)、『クスノキの番人』 (伊藤智彦監督)、『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』(五十嵐祐貴)。手塚治虫のマンガ『リボンの騎士』を原案とする『リボンヒーロー』以外は、日本では公開済だ。
ワールドプレミアでもうひとつ注目されるのは、人気ゲームを原作にした『Sekiro: No Defeat』(沓名健一監督)。アヌシーがジャンル映画の拡大として力をいれるミッドナイトスペシャル(Midnight Specials)部門での上映になる。
また完成前の作品をいち早く紹介するワークイ・インプログレスでは、『KILLTUBE』(栗林和明監督)と東映アニメーションが米国合作で長年制作を続けている『Monkey Quest』が登場する予定だ。
アヌシー国際アニメーション映画祭 https://www.annecyfestival.com/en










