日本国内のアニメーション制作の事業者売上が急伸している。信用調査大手の帝国データバンクは、2024年8月27日に”「アニメ制作市場」動向調査2024”を発表した。
調査報告では、2023年の国内アニメーション制作市場を3390億2000万円としている。前年、2022年の2757億8300万円を22.9%上回る高い伸びとなった。3000億円を超えは史上初で、過去最大だ。これまでの最高はコロナ禍前の2019年の2873億円であった。
帝国データバンクは国内最大手の信用調査会社で、国内の多くの経営情報をデータとして持つ。これをベースに、アニメーション制作会社を対象に毎年、業界調査を行っている。
調査ではアニメーション制作事業者の売上を合算し、アニメ制作市場としている。アニメ業界は映像制作のほか、番組販売、放送権や配信権、劇場興行、さらにはグッズなどの二次展開も含めた市場で算出されることが多い。
これに対して”「アニメ制作市場」動向調査”は、アニメの映像を実際に作り出しているアニメーション制作(アニメスタジオ)の動向にフォーカスしている。より制作の現場に近いところでの現況を示すものになる。2023年の結果は、アニメ業界全体と同様にアニメーション制作でも市場成長が続いていることが読み取れる。
市場拡大については、テレビアニメ制作本数が安定していることに加えて、動画配信プラットフォーム向けの大型制作案件が多かったこと、劇場版アニメのヒットと興行収入の増加が制作会社の業績を押し上げたことを理由としている。
市場の成長は、各社の業績にも影響を与えているようだ。前年比で増収と答えた企業(37.2%)は減収と答えた企業(24.9%)を上回った。また増益企業が全体の44.9%を占めた。
一方で調査では、元請やグロス請と呼ばれる作品全体の制作を請け負う企業の売上増加が大きいが、専門スタジオなどの下請け企業の伸びが小幅であることを指摘している。赤字企業は32.3%と引き続き3割を超えている。企業業績の二極化が進んでいる。
また帝国データバンクでは、アニメーション制作の引き合いは強く、市場の活況は2024年も続いているとする。現状の業績ペースで推移した場合は、2024年のアニメーション制作市場も2023年と同水準となると予想する。
「アニメ制作市場」動向調査2024
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p240814.html