マンガAI翻訳のオレンジ、小学館や産業革新投資機構などから29.2億円調達

ファイナンス決算

 近年のAI技術の向上を背景に、エンタテイメント分野でもAIへの注目が増している。そうしたなかでマンガ翻訳にAI技術を導入し、マンガの海外市場拡大を目指すベンチャー企業オレンジへの大型投資が決まった。
 オレンジは2024年5月7日、総額29億2000万円の資金調達を実施したことを発表した。調達した資金をマンガの多言語展開のためのローカライズシステムの開発、マンガ作品の大量の翻訳、さらに海外向けのマンガ配信プラットフォームの開発と運営に振り当てる。
 出資者は既存投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズのほか、政府系投資会社の産業革新投資機構系のファンド、大手出版社の小学館、この他ANRI、SBIインベストメント、みやこキャピタル、千葉道場ファンド、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、GFR Fundなどのベンチャーキャピタルなどになる。

 オレンジは2021年4月に東京で設立されたベンチャー企業で、マンガ翻訳に特化した生成 AI モデルを開発する。より多くのマンガを、より多くの言語で世界に届けるとしている。
 近年は海外で人気に高い日本マンガだが、翻訳には多くの経験や知識が必要とされるためコストと時間がかかってきた。このためこれまでに海外向け翻訳がされている作品は、国内で出版された作品の一部にとどまってきた。
 オレンジは自社のマンガ特化生成 AI モデルを利用することで、高い翻訳品質を維持したままローカライズ作業の大半を自動化できるとする。これにより従来よりも安く、多量のマンガ作品の翻訳・ローカライズが実現できるという。
 まずは現在の5倍にあたる月間500冊の日本マンガを自社だけで翻訳し、5年後には5万冊の翻訳を目指すとしている。
 また翻訳した作品の海外流通も自社で手がける。2024年3月に米国法人を設立済みで、2024年夏には電子マンガストア「emaqi」を米国でスタートする予定だ。
 資金調達金額が大きいだけでなく、描く事業プランも壮大だ。オレンジとAI翻訳がマンガビジネスの海外展開をさらに促進するのか、国内外でその取り組みと成果が注目を浴びそうだ。

株式会社オレンジ
https://orange.inc/ja

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