キャラクター・ブランドマネジメントのDLEと独自の映画ビジネスで定評のあるギャガが手を組み、新しいIP(知的財産)を開発する。10月24日、両社はクロスメディア型IPの共同開発プロジェクトを始動、今後5つものIPを共同開発することを明らかにした。
IPは劇場映画を起点に、イベントや音楽、テーマパーク、ゲーム、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、セールスプロモーションといった複数のエンタテインメントを連動させる。クロスメディア型の新しいコンテンツを目指す。DLEの持つキャラクターや映像の開発力、プロデュース力と、GAGAの得意とする配給を合せることで、これまでにない市場競争力を実現する。
注目すべき点は、ビジネス展開の早さだ。発表の段階で、すでに5つのIPの共同開発が決定している。2017年前半にこのうち第1弾を発表し、同年後半には劇場公開につなげる。さらにそのタイミングで第2弾のIPを発表、18年前半には第2弾劇場映画が公開される。
発表では劇場映画が実写映画なのか、アニメなのかは、明らかにされなかった。しかし、DLEのこれまでの映画がアニメが中心だったこと、ギャガが先頃アニメ事業への進出を明らかにしていることからアニメである可能性が高そうだ。そうなればすでに多彩な作品群で盛り上がる劇場アニメにまた新たな顔ぶれが加わることになる。
DLEは2001年に設立、2005年からショートアニメの製作を開始、「秘密結社 鷹の爪」シリーズの大ヒットで一躍名を上げた。映像そのものだけでなく、映像を中心に様々な分野にキャラクターとブランドを広げていくIPマネジメントを得意とする。近年はアニメ・キャラクターだけでなく、東京ガールズコレクションの買収などエンタメコンテンツの総合マネジメントにも進出する。
一方、ギャガは、良質で、個性豊かな作品のピックアップに定評がある有力映画会社。買付け、製作、配給に携わる。現在は是枝裕和監督『海よりもまだ深く』や、海外作品『ルーム』、『帰ってきたヒトラー』などが話題を呼んでいる。
2016年で設立から30年となるが、新たなビジネス領域への進出を掲げる。アニメ製作や2.5次元エンタテイメントの映画化に取り組む。エンタテインメント業界におけるアニメの存在感拡大は、歴史あるギャガにとっても無視できないというわけだ。2016年夏には第三者割当でハウステンボス、クリーク・アンド・リバー社から出資を受け、ビジネス基盤もかためた。今後は、アニメや2.5次元関連ビジネスでも目が離せない企業となりそうだ。
DLEとギャガ、ふたつの異色企業が異色の共同事業に取り組む。そこから何が生まれるのか、期待も大きそうだ。