米国の映画芸術科学アカデミーは2024年6月25日に、年に1回実施される新会員の発表をした。新たにアカデミー会員となるのは487名で、現在の約1万500人に加わる。
日本からも20名近くが招かれている。『パーフェクト・デイズ』を主演した俳優部門の役所広司、VFX部門に名前が挙がった『ゴジラ −1.0』の山崎貴監督ら4人のスタッフなど、近年のアカデミー賞受賞・候補作で活躍した人物が多い。
日本からの新会員で目立ったのが、短編・アニメーション部門である。今年の新会員は全部で38名だが、内7名が日本からと全体の2割近くを占めた。
監督のいしづかあつこ、岡田麿里、湯浅政明、そして短編アニメーションで和田淳、折笠良とアニメーション関係者にお馴染みの名前が並んだ。監督以外でも『この世界の片隅に』で監督補・画面構成を務めた演出の浦谷千恵、ポリゴンピクチャーズの代表取締役でプロデューサーの塩田周三も選ばれている。
映画芸術科学アカデミー会員は、アカデミー賞の受賞・ノミネート作品の関係者が選ばれる傾向が強いが絶対条件ではない。今回はむしろ米国アカデミー以外で活躍する人たちが選出されている。
湯浅政明はアカデミー賞でのノミネートはないが、アヌシー国際アニメーション映画祭のグランプリをはじめ世界中の映画祭で活躍する。岡田麿里は上海国際映画祭とシッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリの経験があり、今年は新潟国際アニメーション映画祭でも受賞した。いしづかあつこは2022年の『グッバイ、ドン・グリーズ!』が国際的に高い評価を獲得している。和田淳は世界の主要映画祭の常連で、短編アニメーションを代表する存在だ。
今年に限らずここ数年、映画芸術科学アカデミーには、日本からの会員が増えている。映画芸術科学アカデミーは米国の映画業界の同業者団体として知られ、映画芸術の振興や顕彰、文化の保存などを目的とする。
しかし近年はより幅広い価値観を取り入れるとして、会員の多様化を進めている。その一環として海外会員を増やしており、それが日本にも影響している。今回の新会員は全体の56%が海外からとなっている。また女性が44%、マイノリティー人種が41%ともしている。
映画芸術科学アカデミー会員は、年に一度の米国アカデミー賞の投票権を持つことでも知られる。こうした全体の多様化は、今後のノミネート作品や受賞作品にも影響を与えそうだ。