バンダイナムコホールディングスの2024年3月期決算で、通期連結売上高が過去最高の1兆502億円となった。前年は9900億円とあと一歩で届かなかった売上高1兆円の大台を初めて超えた。
バンダイナムコホールディングスは、2006年にバンダイとナムコのふたつのエンタテインメント会社の経営統合で誕生。当時の両社の売上高合算は4600億円だったが、統合後から20年弱で売上高を2倍以上に拡大した。こうした業績は株価にも反映されており、現在の時価総額は2兆円を超えて日本を代表する巨大企業となっている。
売上高は過去最高となったが、24年3月期の業績のほうは必ずしも過去最高と言えない。営業利益906億8200万円は前年比で22.1%減、経常利益の1041億6400万円は18.2%減と下げが大きい。
オンライン新作ゲームが低調だったデジタル事業が、営業利益で87.3%減、62億5700万円となったのが響いた。またデジタル事業では新作オンラインゲームの評価損に加えて、開発中止などを含むと見られるタイトル編成見直しの処分損を計上している。
当期純利益は1014億9300万円と12.3%増となったが、これは期間中に保有する東映アニメーション株式の一部を売却したためだ。この売却利益411億円4200万円が特別利益に計上されている。特損を株式売却利益でカバーしたかたちだ。
一方で好調だったのは、トイホビー事業である。売上高は5098億円8000万円(13.9%増)、営業利益は786億5500万円(32.1%増)の増収増益である。ガンダムシリーズが好調でガンプラやコレクターズフィギュア、さらにキャラクターくじ、『ONE PIECE』のトレーディングカード、カプセルトイや食玩なども拡大した。
アミューズメント事業も売上高1196億6700万円(14.4%増)、営業利益は68億4300万円(13.3%増)と増収増益だった。「バンダイナムコ Cross Store」や「ガシャポンのデパート」、業務用ゲームの「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 オーバーブースト」が堅調だった。
アニメや映像・音楽、ライセンス管理などのIPプロデュース事業は、前年並みだった。売上高は824億6800万円(0.9%増)、営業利益は100億4800万円(5.6%減)だ。
主力タイトルはヒットになった『機動戦士ガンダム 水星の魔女』などの「ガンダム」シリーズや「ラブライブ!」シリーズ、『アイドリッシュセブン』、『転生したらスライムだった件』、『ブルーロック』など。バンダイナムコフィルムワークスは、『ブルーロック』のアニメーション制作会社エイトビットを今期子会社化している。また、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』がガンダムシリーズ劇場映画で過去最高のヒットになっている。ただし同作の劇場興行収入は、2025年3月期に計上を予定する。
2024年3月期のトピックスは、自社最大タイトルのガンダムシリーズの売上拡大だろう。グループ内のガンダムシリーズ関連の売上高は1457億円と前年の1313億円から10%伸びて過去最高になっている。タイトル別では『DORAGON BALL』を超えて、グループ最大の売上高になった。
グループは今後も「IP軸戦略」を強く推し出し、積極的に投資を続ける。中期経営計画の3年で「IP価値最大化に向けた戦略投資」に250億円、「「IPメタバース」開発に向けた投資」に150億円を投じるとしている。