KADOKAWA 北米の大手アニメ情報サイトの事業買収へ 英語圏ビジネス強化

Anime News Network

 エンタメ大手のKADOKAWAが海外でのアニメ・マンガ・ラノベ関連の事業拡張のピッチを上げてきた。2022年11月1日、KADOKAWAはカナダ・ケベック州に本社を持つニュースサイトであるAnime News Network Inc.(ANN)の全事業を取得する方針であることを明らかにした。
 KADOKAWAの北米事業を統括する中間持株会社KADOKAWA WORLD ENTERTAINMENT, INC.が設立した新会社がANNから関連事業を取得する。ANNの社長であるクリトファー・マクドナルド氏は新会社のエグゼクティブ・アドバイザーとパプリッシャー(発行人)に就任する予定だ。買収価格は非公開で、2022年内に手続きを終了する。

 ANNは1998年に北米で日本アニメの情報を伝えるファンサイトとしてスタートした。その後、運営は現オーナーのマクドナルド氏に引き継がれ、英語圏を代表するアニメ情報サイトに成長する。現在は法人化されており、北米を中心にするほか、オセアニア版、インド版、東南アジア版なども展開する。
 サイトでは日本のアニメ・マンガ・ゲーム・ラノベなどのポップカルチャー情報を広く取り上げ、スタッフ情報やファンコミュニティも運営する。アニメ情報サイトの老舗として、ファンから信頼も厚い。

 KADOKAWAは日本のポップカルチャーの人気を背景に、近年、アジアと北米の両地域でM&Aも活用した事業展開を進めている。北米地域では2016年にグループ化したマンガ・ラノベの翻訳出版社YEN PRESSの業績は絶好調。電子書籍サービス英語版「BOOK☆WALKER Global」の好調も伝えられている。2021年4月には現地の電子書籍販売・サブスクリプションサービスのJNovel Clubも買収している。今回の事業取得を通じてKADOKAWAは、グループ各事業のプロモーション面での連携強化を期待する。
 一方、ANNは編集については引き続き独立を維持しつつ、KADOKAWの持つリソースに期待する。マクドナルド氏は自身のTwitterで、ANNの企業経営ではなく編集により集中できるとの判断から今回の決定をしたと述べている。

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