米国クランチロールが定額プランを一部値上げ、最上級プランは15.99ドル

クランチロール

 インフレ傾向が収まる気配を見せない米国で、物価値上がりの波がアニメファンにも押し寄せている。日本アニメ世界配信の大手クランチロールは、2024年5月1日、米国などで定額課金プランの一部を値上げした。新規加入は5月1日から、契約更新は6月3日以降に新価格が適用される。
 3つあるプランのうち、特典の多い上位2つの月額を引き上げる。4つまで複数デバイスが利用可能でゲームも遊べる「メガファンプラン」が月額9.99ドルから11.99ドルへ約20%高くなるほか、クーポンサービスなどがある「ウルティメイトファンプラン」は月額14.99ドルから15.99ドルに約7%引き上げる。ただしもっとも割安な「ファンプラン」は7.99ドルと現在の価格を維持する。

 クランチロールは価格改定について、ファンサービス向上のためと説明している。現在、クランチロールでは、日本からの新作アニメの同時期配信を中心に4万5000話数を世界配信している。また近年はアニメだけでなく、ミュージックビデオやコンサートなどの映像もラインナップする。オフライン視聴やゲームなども導入する。こうしたサービスを維持するために値上げが必要というわけだ。
 米国では2021年は4.7%、2022年は8%、2023年は4.1%と、近年のインフレ進行は無視できないほど高くなっている。動画配信の総合サービスであるネットフリックスやディズニープラスも、継続的な値上げを続けている。
 そのなかで今回のクランチロールの値上げは5年ぶり。ユーザーが最も多い「メガファンプラン」こそおよそ20%の値上げになったが、割安プランは価額据え置きと慎重だ。

 これまでの値上げ抑制は、ここ数年の急激な会員増加で売上げと収益の伸びをカバーしたとみられる。会員数は2023年末の段階で1300万人、過去3年は年率20%以上の増加だ。会員収入だけでおよそ1000億円規模の収入になるが、このほか劇場配給やゲーム配信などの事業も展開している。
 一方で、日本アニメはシリーズ、長編とも制作本数が増加傾向、そのほとんどをカバーしようとするクランチロールの買付けコストは増しているとみられる。アニメ事業の拡大に向けて、今回の値上げに踏み切ったとみられる。

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