在阪放送局の朝日放送グループホールディングス(朝日放送グループHD)が2024年3月期通期連結決算で、最終赤字に転落する見通しとなった。朝日放送グループHDは5月1日、2024年3月期に特別損失の計上と業績予想の修正を発表した。
新たな予想では連結売上高は、テレビスポット収入とアニメ関連の配分金の増加から880億円から900億円に上方修正された。しかし営業利益は13億円から8億5000万円に引き下げられた。新規事業とコンテンツ事業の進捗が遅れているためとしている。
さらに投資損失を計上した経常利益は15億円から7億5000万円に、特別損失を計上した当期純利益は1億円の利益から8億5000万円に下方修正した。最終的に赤字決算に転落した。
アニメ配分金が売上高を引き上げる一方で、目先ではアニメ関連の投資が経営の負担になっている。今回の特別損失のうちの6億4000万円は、グループ内のアニメ制作会社SILVER LINK.の のれん の減損損失にあたる。買収時の想定より同社の収益力が劣ると判断したことになる。またSILVER LINK. 本社設備などでも7000万円の減損損失を計上した。
朝日放送は2020年8月にアニメ事業の強化を目的にSILVER LINK.を買収、完全子会社化している。以降、事業拡張に積極的に投資してきた。
2023年10月のアニメ事業再編で、持株会社の直接子会社からABCアニメーションの子会社へと移動している。このタイミングに合せて事業計画を見直し、まとまった減損処理に踏み切ったとみられる。
朝日放送グループHDでは、このほか海外事業における投資事業損失を3億6500万円、投資有価証券評価損を8400万円、それ以外に9000万円の減損損失も計上する見込みだ。