今年で38年目を迎える第36回東京国際映画祭が、アニメーション部門の上映企画を再編する。2019年から2022年まで4年間続いた「ジャパニーズ・アニメーション部門」を新たに「アニメーション部門」とし、海外映画も積極的に取り上げる。
上映作品は全部で12本、国内外の新作を9本、またレトロスペクティブとして「海外映画祭と監督」とのテーマで、海外映画祭で賞に輝いた監督の代表作を上映する。湯浅政明監督の『夜明け告げるルーのうた』、片渕須直監督の『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』、岩井澤健治監督の『音楽』だ。プログラミング・アドバイザーは藤津亮太氏が担当する。
今年の特徴は海外作品の上映が大きい。ジャパニーズ・アニメーション部門はそのタイトルの通り、これまで日本のアニメーション映画・特撮映画にフォーカスしてきた。今回は海外の作品を大きく取り入れることで国際色が豊かになる。一方で、過去何年かスポットを浴びてきた特撮映画の上映がなくなった。
海外作品はいずれも日本未公開、最新の話題作が揃った。中国からは『アートカレッジ1994』、『深海レストラン』、さら東欧の『トニーとシェリーと魔法の光』、フランス/スペイン合作の『ロボット・ドリームズ』。そして今年のアヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(グランプリ)の『リンダはチキンがたべたい!』の5本だ。
日本映画では『かがみの孤城』、『BLUE GIANT』、『北極百貨店のコンシェルジュさん』、『駒田蒸留所へようこそ』が上映される。
東京国際映画祭でのアニメーション上映部門は、これまでたびたび変更されている。2006年から2008年にはanimecs TIFF部門が設けられ、今 敏特集などが企画されていた。2009年に同部門はなくなると、2013年までアニメーション映画はほとんど姿を消す。
再びスポットが当たったのは2014年の「庵野秀明特集」。その後も「ガンダムとその世界」(2015)、細田守(2016)、原恵一(2017)、湯浅政明(2018)と巨匠を中心に特集が続いた。
2019年からはジャパニーズ・アニメーション部門となり、最新作、レトロスペクティブ、特撮の3つの部門で構成していた。2022年はレトロスペクティブで「アニメと東京」、特撮では「ウルトラセブン」の特集を組んでいた。
東京国際映画祭は、この他の特集上映、企画上映も発表している。目玉のひとつが生誕120周年を記念した小津安二郎特集、またNippon Cinema Now部門では多彩なジャンルで活躍する城定秀夫監督を取りあげる。
映画祭の期間は10月23日から11月1日までの9日間、東京・日比谷、有楽町、丸の内、銀座地区が会場となる。チケット情報などは今後公式サイトなどで告知する。
第36回東京国際映画祭
2023年10月23日~11月1日
https://2023.tiff-jp.net/ja/