U-NEXT とParaviが事業統合 売上高800億円、視聴者370万人のサービスへ

U-NEXT とParavi

 動画配信市場が急成長する一方で、国内の配信プラットフォーム事業では多くのサービスがしのぎを削る厳しい競争が続いている。そうしたなかで勝ち残りを目指して、大手サービスの統合が発表された。
 U-NEXTが運営する「U-NEXT」と、プレミアム・プラットフォーム・ジャパンが運営する「Paravi」が23年7月に統合され、ParaviのサービスはU-NEXT内に移される。この統合により同事業は売上高800億円超、有料会員数は370万人超のプラットフォームが誕生する。
 事業規模ではNetflixやAmazon プライム ビデオと並び3強の一角を固める。また国内系ではライバルのHuluを一挙に引き離す。

 統合にあたってはサービスだけでなく、経営母体も統合される。経営統合はまず株式交換でU-NEXTの持株会社USEN-NEXT HOLDINGSがプレミアム・プラットフォーム・ジャパンの全株式を取得、そのうえでプレミアム・プラットフォーム・ジャパンの株主が株式交換のかたちでUSEN-NEXT HDの株式を取得する。
 その後U-NEXTとプレミアム・プラットフォーム・ジャパンの統合会社であるU-NEXT(新)が、プレミアム・プラットフォーム・ジャパンの株主であるTBS HDと博報堂DYメディアパートナーズを引き受け先に第三者割当増資を実施する。

 Paraviを運営するプレミアム・プラットフォーム・ジャパンは、TBS HD、テレビ東京HD、日本経済新聞社、電通グループ、WOWOW、博報堂DYメディアパートナーズの出資で2017年に設立された。テレビ東京を含む日経グループとTBS、WOWOWと、それぞれの得意分野を活かした大手メディア連合の色合いが強かった。
 しかし動画配信サービスの厳しい競争のなかで、十分にシェアを伸ばし切れていなかった。そこで国内系の動画配信サービス大手のU-NEXTと組むことで生き残りを図る。統合と合わせて新たなかたちで資本参加するTBS HDと博報堂DYは引き続き事業に関わることになる。一方で日経グループ、WOWOW、電通グループはこの事業から手を引くことになりそうだ。

 一方のU-NEXTにとって事業統合は、短期間でシェアを伸ばす手段となる。会員数の拡大は動画配信事業の中で存在感をアピールすることが出来る。
 それでもユーザー属性の違うU-NEXTとParaviの統合が単純な「1+1」、もしくはそれ以上の効果がだせるかは未知数だ。とりわけ月額2189円(税込)のU-NEXTと月額1017円(税込)のParaviとのサービス料金の大きな違いはネックになるはずだ。統合にあたってはのユーザー取りこぼしをしない施策が必要になる。
 またU-NEXTは2021年にはアニメ専門の動画配信プラットフォームである「アニメ放題」もフトバンクグループから引き継いでいる。こちらの事業も今後統合するのか、別サービスとして維持するも、今後の注目となりそうだ。

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