米国・ロサンゼルスのアカデミー映画博物館に、新たに貴重なアニメーションの制作資料が加わった。2023年6月20日、博物館を運営する映画芸術科学アカデミーは、映画監督・プロデューサーのスティーブン・スピルバークが自身の保有するアニメーション映画の素材などからなるコレクションを同博物館に寄贈することを明らかにした。
スティーブン・スピルバーク・アニメーション・コレクション(Steven Spielberg Animation Collection)は、1932年から1952年に制作されたアニメーションの原画やセル画がなどを中心に157点に及ぶ。『白雪姫』や『ピノキオ』などのオリジナル背景原画とセル画のセットなどが含まれる貴重なものだ。
スティーブン・スピルバークはアニメーションアートの熱心なコレクターとして知られており、1980年代よりオークションなどを通じて作品を集めてきた。この時代のアニメーション映画のオリジナル原画やセル画、コンセプトアートなどは現存数が極めて少ない。『白雪姫』や『ミッキーマウス』の背景原画とセル画のセットなどが、数千万円で取引されることも珍しくない。
アカデミー映画博物館は今回の寄贈を記念して、グラフィック・アート部門の名称をスピルバーグと夫人の名前を取ってスティーブン・スピルバーク&ケイト・キャプショー グラフィック・アート部門と命名した。
アカデミー映画博物館は、カリフォルニア州ロサンゼルス市ハリウッド地区に2020年に完成した米国の映画芸術の殿堂だ。総工費4億8000万ドルは、ほとんどが寄付により賄われた。マーガレット・ヘリック・ライブラリーと名付けられている膨大な資料の所蔵品の多くも寄付によるものだ。そのコレクションは写真1300万点、脚本9万5000点、ポスター7万3500点、プロダクション・アート14万5000点、それに3万9000冊の書籍などからなる。
今回はスピルバーグのコレクション以外にも大きな寄贈があった。今年アカデミー賞で7部門を受賞した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の衣装や600点以上の無声映画のポスターコレクション、さらにプロデューサーのゲイル・アン・ハード、ハロルド・ライミス監督、グレッグ・アラキ監督、映画研究家のケヴィン・ブラウンローらが個人的に収集した映画や映画関連資料が含まれる。