JASRAC国際賞に「NARUTO 疾風伝」BGM、上位10作品はジャンプアニメ独占

音楽

 音楽著作権管理団体の日本音楽著作権協会(JASRAC)は、2023年5月24日にJASRAC賞の各賞を発表した。JASRAC賞は協会が音楽配信やカラオケ、CMなどから前年度に徴収した著作物使用料のうち、分配額が多かった作品を顕彰する。
 国内作品の上位3作を金賞、銀賞、銅賞とし、海外から最も入金のあった国内作品を国際賞、国内で分配額が多かった外国作品を外国作品賞と3つの分野を設ける。今回は2022年度の実績にもとづいており、金賞は『ドライフラワー』(優里)、銀賞『夜に駆ける』(YOASOBI)、銅賞は『残響散歌』(Aimer)となった。外国作品賞はBTSの『Butter』。

 『夜に駆ける』はシリーズアニメ『BEASTARS』のオープニング主題歌、『残響散歌』は『鬼滅の刃』 遊郭編のオープニング主題歌とアニメとタイアップ曲が引き続き存在感が強い。この他にもランキング5位『Cry Baby』(Official髭男dism)が『東京リベンジャーズ』、6位『天才バカボン』(アイドル・フォー)が同名アニメ、8位『怪物』(YOASOBI)がやはり『BEASTARS』とアニメと結びついた楽曲がトップ10に多い。
 アニメ関連楽曲には時代を超えて愛されることが多いのも特徴である。『新世紀エヴァンゲリオン』主題歌 で7位の『残酷な天使のテーゼ』(高橋洋子)は長年、このランキングの常連だ。また9位の『銀河鉄道999』(ゴダイゴ)のリリースは1979年である。

 海外からの入金額から決まる国際賞は、海外での日本アニメの人気を知る手がかりとしても興味深いものである。今回は世界的に人気の高いアニメシリーズ「NARUTO」から『NARUTO-ナルト-疾風伝BGM』が輝いた。同シリーズからは分配金額4位に『NARUTO BGM』、6位に『BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS BGM』もランキングしている。

【海外から入金のあった国内作品トップ10】
1.『NARUTO-ナルト-疾風伝BGM』
2.『HUNTER×HUNTER BGM』
3.『ブラッククローバーBGM』
4.『NARUTO BGM』
5.『ワンピースBGM』 (田中公平)
6.『BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS BGM』
7.『鬼滅の刃BGM』 (椎名豪)
8.『鬼滅の刃BGM』 (梶浦由記)
9.『ワンピースBGM』 (浜口史郎)
10.『僕のヒーローアカデミアBGM』 

 アニメシリーズのBGMはテレビ放送、配信などで頻繁に楽曲が利用されることから、分配金額が大きくなる傾向が強い。このため例年国際賞の上位ランキングは、アニメBGMが占められる。2022年度はトップ10全作品がアニメBGMになり、近年の海外におけるアニメ人気の広がりを確認させるものになっている。
 さらに今回の特徴は『NARUTO』のほか『HUNTER×HUNTER』、『ブラッククローバー』、『ワンピース』、『鬼滅の刃』、『僕のヒーローアカデミア』と全てが「週刊少年ジャンプ」連載のマンガを原作としたアニメになったことだ。ジャンプアニメの世界的な人気を感じさせる。

 また今回JASRACは『NARUTO-ナルト-疾風伝BGM』の国別収入の内訳も明らかにしている。これによれば全体の約半分にあたる米国からが46.54%、フランスが25.8%、ドイツが17.2%と、全体の9割が上位3ヵ国で占められている。4位以下はブラジル、メキシコ、カナダと続き、北米とヨーロッパが中心になる。『NARUTO』の人気の国際的な広がりからみると、徴収率には地域的な偏りもありそうだ。

JASRAC
https://www.jasrac.or.jp/

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