東映アニメーションは、新作アニメ『Le College Noir(原題)』をフランスのアニメーション制作会社スタジオ・ラ・カシェット(Studio La Cachette)と共同製作することを明らかにした。共同製作にあたって
東映アニメーションは、本作の映像販売窓口と商品化権を取得する。ヨーロッパ発のアニメコンテンツの展開を目指す。
共同製作にあたってはラ・カシェットのほか、フランスのアニメーション配信プラットフォーム「ADN(Animation Digital Network)」とも手を組む。「ADN」は、『ONE PIECE』や『NARUTO』など日本アニメを多く配信する有力プラットフォームだ。2023年秋からまずADNで配信、フランスから展開する。東映アニメーションがフランス現地で製作した作品を、日本アニメファンの多い現地のプラットフォームを使ってビジネス展開とこれまでにない取り組みだ。
作品の原作はフランスのバンドデシネで、5人の少年少女たちが主人公にした冒険ストーリーになる。彼らはフランス中央の山間部で行方不明になった友人の謎に挑む。原作者のユリス・マラサーニュが自ら監督と脚本を担当する。
アニメーション制作をするラ・カシェットは、フランス・パリに2014年に設立された新興のスタジオだ。10年足らずの歴史ではあるが、米国カートゥーンネットワークで放送された『PRIMAL』ではエミー賞を受賞、長編アニメーション『ミューン 月の守護者の伝説』を制作、Netflix配信の『Love Death + Robots』、ディズニープラスで人気の『スター・ウォーズ:ビジョンズ シーズン2』にも参加するなどその評価は高い。2D作品を中心に、職人的な技術とスト-リーテーリングは展開を得意とする。今回公開されたビジュアルも絵本のようなキャラクターが特徴になった。
配信プラットフォーム「ADN」の歴史も新しい。もともとは日本マンガの有力出版社KazeとKanaのそれぞれの映像プラットフォームを統合して誕生した。その後、資本移動が続くなかで一時期はクランチロールの傘下に入ったが、その後分離独立して今に至る。現在は日本アニメだけでなく、フランスやベルギーで制作された作品も多くラインナップする。
東映アニメーションは、『ドラゴンボール』や『ONE PIECE』などのタイトルを多く製作する国内の大手アニメ製作会社。近年のビジネスの成長は著しい。
一方で少数の大型タイトルへの収益の依存が高いこと、国内の市場の拡大が今後鈍化する可能性が高いなど課題も少なくない。そうしたなかで自社でなくヨーロッパの有力制作会社の企画・制作作品に出資する。東映アニメーションの事業の多角化、新たな挑戦となる。
Studio La Cachette https://www.studiolacachette.com/
ADN https://animedigitalnetwork.fr/