岡田麿里が原作・脚本・監督「アリスとテレスのまぼろし工場」9月15日公開

『アリスとテレスのまぼろし工場』キャスト

 2021年6月、アニメ会社MAPPAによる制作の発表後、その詳細がほとんど明らかにされていなかった岡田麿里監督の劇場アニメ『アリスとテレスのまぼろし工場』の新情報が一挙に明かされた。発表の場は1年半前と同様で、MAPPAの作品をまとめて紹介する「MAPPA STAGE」だった。
 2023年5月23日に、東京・有明の東京ガーデンシアターにて、MAPPAの最新作が一堂に会した「MAPPA STAGE 2023」が開催された。全体で6時間に及ぶイベントのトリを飾ったのが『アリスとテレスのまぼろし工場』である。
 ステージには本作の主演声優を務める榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲らが登壇。アフレコの様子を交えながら、作品の魅力を紹介。さらにいくつもの新情報が明らかにされた。

 まず気になる映画公開日は2023年9月15日に決定した。全国拡大公開となる。岡田麿里は監督だけでなく、原作さらに脚本も執筆する。6月13日にはKADOKAWA<角川文庫>より、自身の手による原作小説も発売される。かなり岡田麿里カラーの濃い作品になりそうだ。
 『とらドラ!』や『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』など数々の話題作で脚本を手がけてきた岡田麿里は、2018年に劇場映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』で監督デビュー。本作は上海国際映画祭で最優秀アニメーション作品賞、シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭でファンタスティック・ディスカバリー部門最優秀長編作品賞に輝くなど世界で高い評価を受けた。監督第2作となる『アリスとテレスのまぼろし工場』にも期待がかかる。
 共に作品を創り上げる副監督に平松禎史、キャラクターデザインに石井百合子、美術監督に東地和生、前作の主要スタッフが再結集した。また音楽は『空の青さを知る人よ』の横山克である。

 ステージでは、特報として映像の一部も上映された。映像からも一端が窺えるストーリーは謎に満ちている。製鉄所の爆発で外に至る道が閉ざされ、そして時間まで止まった町が舞台だという。変化を禁じられた町に住む少年少女たちが物語の鍵だ。

 本作はアニメーション制作を担当するMAPPAにとっては、作品の内容だけでなく、取り巻く環境についても大きな意味がある。ひとつは数々のヒット作を世に届けてきたMAPPAにとっても、本作が初のオリジナル劇場アニメになることだ。ビジネス的にもハードルが高いとされるオリジナル原作・企画の全国公開は大きな勝負だ。 
 また配給にワーナー•ブラザース映画に並び、MAPPAの名前がクレジットされているのにも注目したい。設立10年少しのアニメーション制作会社の配給進出は異例だ。『アリスとテレスのまぼろし工場』は数々のビジネス的な挑戦を続けるMAPPAの次の勝負作のようだ。

「アリスとテレスのまぼろし工場」  
https://maboroshi.movie/
2023年9月15日(金)全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画 MAPPA

 

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